けいはんなセミナー

 

日時 2004年2月20日13時30分〜2月23日(昼食後解散)
場所 関西学研都市 けいはんなプラザ

 

プログラム

2月20日(金) 14時〜17時 講義およびショート・コミュニケイション
20時〜22時セミナー
2月21日(土)9時〜12時 講義およびショート・コミュニケイション
14時〜17時セミナー
20時〜22時セミナー
2月22日(日)9時〜12時 セミナー
14時〜17時セミナー
20時〜22時セミナー発表会
2月23日(月)9時〜12時 セミナー発表会

参加者

教官 8名
PDまたはCOE研究員3名
D26名
M22名
M16名
学部学生26名

教官以外の参加者の所属大学

北海道大学、東北大学、千葉大学、東京大学、東京工業大学、
東京都立大学、立教大学、名古屋大学、金沢大学、京都大学、
大阪大学、大阪市立大学、神戸大学、岡山大学、愛媛大学、
九州大学、佐賀大学

教官の所属大学

京都大学、神戸大学、国際基督教大学、四日市大学

講義

  1. Arnaldo Garcia(IMPA, ブラジル) : Algberaic curves over finite fields(1時間講演2回) 有限体$F_q$上定義された代数曲線の理論、 とくに$F_q$有理点をたくさんもつ曲線の構成法をめぐって、 きわめて初歩的な議論から始めて現在の研究の現状までの紹介があった。 講演は英語により、 大学院へ進学予定の学生に対しては英語の講演になれる意味もあった。 英語も分かりやすく、数学上の説明も大変わかりやすい講演であり、 参加者の多くが理解できた。
  2. 加藤文元(京都大学) : Rigid Geometryについて(1時間講演) 数論幾何学で重要になりつつある新しい幾何学の見方に関する講演であった。 かなり高度な内容であり、数学の研究の厳しさを味会うことのできた講演であった。
  3. 小川束(四日市大学) : 日本数学史(1時間講演) 江戸時代に日本の数学は独特の発展を遂げたが、 日本の数学の研究者はほとんどこの歴史を知らないので、 教養的な意味で専門家に講演をお願いした。 江戸時代に数学的に大変高度な数学があったことを始めて知る参加者が多く、 後述するセミナーの発表と共に、 数学を研究する意義をあらためて認識した参加者が多かった。

ショート・コミュニケイション

M2以上の院生とPDによる30分講演(7名)

修士論文、博士論文の内容の紹介と現在の研究の紹介を行った。 多くの大学院進学予定者には大学院での研究を垣間見る機会となった。

セミナー

以下の論文や本を講読し、 最後に内容の紹介を大学院進学予定者およびM1の院生が行った。
  1. A. Weil : Numbers of solutions of the equtions in finite fields, Bull. Amer. Math. Soc. 55(1949), 497-508 
    参加学生 7名 チューター4名

  2. J. Milnor : A note on curvature and fundamental group, J. Differential Geometry, 2(1968), 1-7
    参加学生 6名 チューター3名

  3. C. Feffermann : The multiplier problem for tha ball, Ann. of Math. 94(1971), 330-336
    参加学生 5名 チューター 3名

  4. 三輪・神保・伊達「ソリトンの数理」岩波講座応用数学
    参加学生 5名 チューター 3名

  5. デカルト「幾何学」(Descartes : La Geometrie(「方法序説」の付録)の 邦訳)デカルト著作集 I、白水社
    参加学生 4名 チューター2名

  6. 建部賢弘「綴術算経」
    参加学生 5名 チューター3名
内容的にはどれも高度なものであり、 参加学生の多くがまだ学習していない内容を含んでいたが、 チューターの熱心な指導もあって、 短期間のうちに新しい概念を皆がマスターすることができた。特に、 最後に学んだことを発表する必要があったので、 深夜まで勉強するグループが多かった。最後の発表会も、 始めてこうした発表をする学生が多かったにもかかわらず、 与えられて時間内によくまとめられた発表を皆が行うことができ予想以上の効果がもたらされた。 また、M2以上の院生やPDはチューターとして個々の学生質問にていねいに答え、 また深夜まで必要な個所の講義を行うなどして、数学の教育の意義を理解すると共に、 自己の数学の知識をさらに確実なものとすることができた。 また、多くの異なる大学の学生・院生・研究者がセミナーを通して親しくなり、 今後の数学の研究でも協力していくことが期待される。

なお、 けいはんなセミナーに関するアンケートでは回答者全員が次回のセミナーにも参加を希望していた。 今回のセミナーの案内が年末・年始にかかってしまったために、 学生への周知が必ずしも充分でなく、 結果として私学からの参加者が少なかった点は反省点である。

 

                          担当:上野 健爾

 


Research Institute for Mathematical Sciences



Last modified: April 20, 2004