「p進数論幾何とその周辺」セミナー





2018年


8月
日時:8月29日 15:00-- (いつもと開始時間が違います)
場所:京大数理研006号室
発表者:Anna Cadoret氏(IMJ-PRG)
(tentative)題目: Ultraproduct Weil 2 for curves and integral models in families of compatible l-adic local systems
(tentative)概要:We work over a finite base field of char p and with etale cohomology.
We introduce an ad-hoc category of local systems with ultraproduct coefficients
and develop a theory of Frobenius weights in this setting.
In particular, we prove a version of the main theorem of Weil 2 for curves
as well as of the Cebotarev density theorem.

Ultraproduct coefficients are the conceptual key to explain the phenomenon that
modulo l cohomology behaves asymptotically like l-adic cohomology.
Combined with the l-adic theory of Weil 2, our results (reprove and) extend to
arbitrary families of compatible l-adic local systems and their integral models
properties which were previously known only for the constant family \Q_\ell, \ell\not= p
and its tautological family of integral model \Z_\ell, \ell\not= p
(e.g. Gabber's torsion freeness theorem or previous joint results with Hui and Tamagawa).
Building on the l-adic Langlands correspondance, we also establish its ultraproduct avatar,
obtaining asymptotic (in terms of the ramification data and rank) lifting
and finiteness results for irreducible torsion etale local systems.


7月
日時:7月19日 13:00--
場所:京大数理研006号室
発表者:時本一樹氏(京大数理研)
題目:本質的従順局所Langlands対応について
概要:非アルキメデス局所体F上のGL(n)の局所Langlands対応は一般には明示的な記述が知られていないが,
Bushnell-Henniartは本質的従順表現というクラスの表現に対して, 局所Langlands対応を具体的に記述した.
本質的従順表現とは, 概ね, Fのn次従順分岐拡大体Eの乗法群の指標でパラメトライズできるような表現のことである.
Galois表現の側では, 対応するEのWeil群の指標の誘導表現だが, GLn(F)の表現の側では,
具体的だがやや複雑な手順で構成される超尖点表現となる.
このセミナーでは, 本質的従順な超尖点表現の構成と本質的従順局所Langlands対応について概説する.
余裕があれば, このような純表現論的な理論(の一部)と関連する有限体上の代数多様体についての講演者の進行中の研究についても触れたい.


5月
日時:5月17日 13:00--
場所:京大数理研109号室
発表者:佐久川憲児氏(京大数理研)
題目:モジュラー曲線上の混合楕円モチーフについて
概要:Yを開モジュラー曲線とする。本講演では、 Y上の楕円モチーフを
Arapuraの意味でのY上のモチーフ的局所系の忠実充満部分 圏として定義
する。更に、 その圏の2拡大群に関して得られた結果をお話する。また、
Hain・松本により導入された、普遍混合楕円モチーフの圏との関係につい
ても触れる。


4月
日時:4月19日 13:30-- (いつもと曜日と開始時間が違います)
場所:京大数理研109号室 (いつもと部屋が違います)
発表者:星裕一郎氏(京大数理研)
題目:ある p 進局所体の絶対 Galois 群の外部自己同型群における体論的部分群の非正規性
概要:p 進局所体の自己同型は、自然にその絶対 Galois 群の外部自己同型を定める。
一方、 よく知られているとおり、一般に、p 進局所体の絶対 Galois 群の外部自己同型であっ
て、その p 進局所体の自己同型から生じないものが存在する。つまり、ある p 進局所
体の自己同型全体から定まるその絶対 Galois 群の外部自己同型群の部分群は、真の部
分群となることが知られている。この講演では、p 進局所体に対する様々な単遠アーベ
ル復元アルゴリズムを用いることで、ある p 進局所体に対して、その絶対 Galois 群
の外部自己同型群の「体論的部分群」が、(真の部分群であるというだけでなく)正規
部分群ですらないということを証明する。


2月
日時:2月22日 (いつもと曜日が違います) 13:00--
場所:京大数理研106号室 (いつもと部屋が違います)
発表者:Christian Santos Táfula氏(京大数理研)
題目:Additive Bases II: Erdos-Tetali Theorem and random representation functions
概要:Given A a subset of the natural numbers,
Let r_{A,h}(n) be the h-representation function of A at n,
i.e. the number of ways of writing n as the sum of h elements of A.
A natural direction in the study of additive bases comes from the question
"How small can r_{A,h}(n) be when A is an h-basis?".
The first instance of this question dates back to S. Sidon (1932),
who inquired about the existence of 'economical' 2-bases.

Say an h-basis B is 'economical' when r_{B,h}(n) << n^\eps for every \eps > 0.
The existence of economical 2-basis was first established
by P. Erdos in 1956 by probabilistic (therefore non-constructive) methods.
He actually showed the existence of a 2-basis B with r_{B,2}(n) == log(n)*.
In 1990, in a joint paper with P. Tetali, he then showed for every fixed h >= 2
the existence of an h-basis B with r_{B,h}(n) == log(n).
It is since conjectured that if B is an h-basis, then limsup r_{B,h}(n)/log(n) > 0
(this is the strong form of the Erdos-Turan conjecture for additive bases).

Our proposed extension of Erdos-Tetali theorem was conceived as an attempt to
shed light onto the structure of random representation functions. Given h >= 2,
we show that for any 'suitable' (i.e. OR_+, in the notation of last seminar)
real function f satisfying

x^{1/h}.log(x)^{1/h} << f(x) << x^{1/(h-1)}.log(x)^{-eps}

there is an h-basis B with |B \cap [0,x]| == f(x) and r_{B,h+l}(n) == B(n)^{h+l}/n, for every l >= 0.
When f is equal to the lower bound and l = 0,
this is exactly Erdos-Tetali original theorem.
The significance of the upper bound lies more on the method than on the result per se,
as it is an application of Spencer's "disfam" (disjoint families) method
which provides a stronger result than what would be expected under general assumptions
of concentration inequalities for Boolean polynomials
(such as known two-sided versions of Janson's inequality).

----
*By "f == g" we mean "f >> g and f << g".



1月
日時:1月24日 (いつもと曜日が違います) 13:00--
場所:京大数理研402号室
発表者:Christian Santos Táfula氏(京大数理研)
題目:Additive Bases I (continued)


2017年


12月
日時:12月26日 13:00--
場所:京大数理研402号室
発表者:Christian Santos Táfula氏(京大数理研)
題目:Additive Bases I: Elementary perspectives in Schnirelmann's classical theory of sumsets
概要:An additive basis is a subset $A$ of the natural numbers
for which every number can be written as the sum of at most $h$ elements of $A$,
the least such $h$ being called the order of $A$.
Many fundamental problems in additive number theory are related to this question,
most notably Goldbach's Conjecture and Waring's Problem,
which asks the order of $\mathbb{N}\^k := \{n^k : n \in \mathbb{N}\}$ as an additive bases.

While both problems are still subject of intense research,
their "soft" forms (i.e. both the primes and the sequence of k-powers
have finite order as additive bases) were long established,
and in more than one way. While Hardy-Littlewood-Vinogradov's Circle Method is
the most powerful and produces much better estimates,
it relies too heavily on the arithmetical character of the sequence of primes and powers.
On the other hand, Schnirelmann's elementary theory of sumsets provides
a completely general approach that emcompasses arbitrary sequences,
even sheding light into the problem of characterizing all additive bases.

In this talk we are going to present a concise formulation of the main idea
behind Schnirelmann's proof that primes form a basis and Linnik's elementary
solution to Waring's problem, introducing the concepts of additive pre-basis
and O-regular sequences into Schnirelmann's classical theory of sumsets.


11月
日時:10月27日 (いつもと曜日が違います) 13:00--
場所:京大数理研109号室 (いつもと部屋が違います)
発表者:河口祐輝氏(京大数理研)
題目:Masserによるnear-miss abc-tripleの構成の数体への一般化
概要:a+b+c=0なる互いに素な整数の三つ組(a,b,c)についてその高さH(a,b,c)をmax\{|a|,|b|,|c|\}とし,
P(a,b,c)を\prod_{p:prime,p|abc}pとするとするとき,
任意の\varepsilon>0についてH(a,b,c)よりもP(a,b,c)^(1+\varepsilon)のオーダーが大きいというのがabc予想の大まかな主張です。
\varepsilon=0の場合のこの主張が偽であることはMasserにより証明が与えられています。
Masserはまず互いに素な整数の二つ組(a,b)で次のような性質を満たすものを,鳩ノ巣原理を用いて用意しました:
・a,bを割る素数は上からのboundを持つ,
・固定された素数の大きな冪でa-bが割り切れる。
さらに三角不等式を用いることで"\varespilon=0"版abc予想の反例を与えるような
(a,b,c)(near-miss abc-tripleと呼ぶべきもの)の列を構成しました。
以上の(定義と)議論を一般の数体に拡張するとどのようになるかということが今回お話する内容となります。
有理数体と虚二次体は様子が似ていますが,それ以外の場合,
単数群のランクが正であるために上記のような(a,b)が簡単に作れてしまう一方,
(絶対ノルムに関する自然な)三角不等式が無いために異なる様相を呈します。
また,数体の拡大があったとき,下の体での反例はほぼ自動的に上の体での反例となるので,
「下の体から来ない反例が作れるか」ということはこの話をする上で本質的な問となりますが,
これに対して(完全ではありませんが)考察を与えます。


10月
日時:10月25日 (いつもと曜日が違います) 13:00--
場所:京大数理研402号室
発表者:伊藤公毅氏(豊橋技術科学大)
題目:P^1上のq差分加群とその解層(の双対)のコホモロジー
概要:(まず初めに、この講演はpではなくqの話です。)

青本氏は、「超幾何函数とは、捩られたド・ラームコホモロジーと
局所系係数コホモロジーの比較同型を記述するもの」
という観点(我々の業界で「ツイスト・ドラーム理論」等とよばれるもの)
から超幾何函数の一般化を与えた。
更に、そのq類似を与え「qド・ラームコホモロジー」なるものを導入した。

「q-差分de Rham複体とCechコホモロジー
底つき超幾何関数についての一考察」
(数学 Vol. 49(1997) No. 4)

において, qド・ラームコホモロジーとチェックコホモロジーの同型を
「予想」として述べている。
(注:1次元の場合は、比較的容易に予想が正しいことはわかる。)

上記論説の理解を動機として、
講演者は「q差分加群」(D加群のq類似)を導入した。
本講演では、q差分加群の解層(の双対)のコホモロジー
としてド・ラームコホモロジーやチェックコホモロジー
が現れ(従ってそれらは当然同型とな)ることを説明する。
(時間がゆるせば、これらのコホモロジーは楕円曲線上の直線束の
コホモロジーとも同型になることを述べる)

注1:現在できていて、今回お話できるのはP^1の場合だが、
今回の議論の多くはトーリック多様体にも通用する筈である。

注2:q差分加群といったものは誰しも考えつく対象と思われるが,
P^1上(トーリック多様体上)の層として考えようとすると些かの困難が生じる。
その原因は,
1)位相の問題
2)ライプニッツ則のq類似は, 「P^1上張り合わない」こと
から起因する。
これらをクリアする一つの方法を本講演で提案する。


9月
日時:9月26日 13:00--
場所:京大数理研402号室
発表者:三原朋樹氏(東工大)
題目:結び目と素数の類似における実3次元多様体の類体論
概要:「有向連結閉3次元実多様体およびその結び目」と「代数体の整数環およびその極大イデアル」
という全く出自の異なる対象の間には数々の類似が知られており、近年も新たな類似が次々と見付かっている。
今回は有向連結閉3次元実多様体に対して類体論の類似を定式化する。
本研究は植木氏と新甫氏が考案した定式化を、関手的に修整しテイトコホモロジーとの関係を深めたものである。


8月
日時:8月8日 13:00--
場所:京大数理研402号室
発表者:佐久川憲児氏(京大数理研)
題目:普遍混合楕円モチーフについて
概要:普遍混合楕円モチーフとは, Richard Hain, 松本眞両氏により導入された対象で,
大雑把に言えばモジュラー曲線上の混合テイトモチーフの変形(Variation)のことです.
このセミナーでは, 彼らのpreprint``Universal Mixed Elliptic Motives''の解説を行います.
余裕があれば, 講演者の最近の研究についても解説します.


7月
日時:7月18日 13:00--
場所:京大数理研402号室
発表者:時本一樹氏(京大数理研)
題目:Lubin-Tateパーフェクトイド空間のアフィノイドと局所Langlands対応の特別な場合について
概要:非可換Lubin-Tate理論によれば,GL(n)の局所Langlands対応と
局所Jacquet-Langlands対応はLubin-Tate空間の射影系のコホモロジーに実現される.
しかし,このことの証明は大域的手法によっていて,
Lubin-Tate空間の幾何と表現の関係がよく理解されているとはいえない.
Boyarchenko-Weinsteinおよび今井直毅氏,津嶋貴弘氏の先行研究を参考に,
講演者は,Lubin-Tateパーフェクトイド空間(射影系のある種の極限)の
アフィノイド部分空間を構成し,その還元のコホモロジーが,
あるクラスの表現に対して2つの対応を実現することを示した.
このセミナーでは,これらの結果について紹介する.
特に,証明の概略について,やや踏み込んで説明する.
証明の大部分はかなり具体的な計算に基づいているが,
あまり細かくなりすぎない範囲で,
計算がうまくいく様子や背後に予感される一般的な現象などが伝わるようにしたい.


6月
日時:6月27日 13:00--
場所:京大数理研402号室
発表者:辻村昇太氏(京大数理研)
題目:Geometric Version of the Grothendieck Conjecture for Universal Curves over Hurwitz Stacks


5月
日時:5月30日 13:00--
場所:京大数理研402号室
発表者:東山和巳氏(京大数理研)
題目:pro-p Grothendieck予想について



4月
日時:4月25日 13:00--
場所:京大数理研402号室
発表者:広瀬稔氏(九大)
題目:Grossの精密類数公式について
概要:Grossは1998年、Stickelberger元に関するある合同式を予想した。
この予想は古典的なDedekindの類数公式の類似物となっており、Grossの精密類数公式と呼ばれている。
発表者は昨年、この予想の証明を得た。
今回のセミナーでは、上記の予想について復習した後、
Dedekindの類数公式の別証の話からスタートして、
発表者の得た証明の基本的なアイデアと概略を述べる。



3月
日時:3月28日 13:00--
場所:京大数理研402号室
発表者:南出新氏(京大数理研)
題目:組み合わせ論的遠アーベル幾何入門その3



2月
日時:2月22日 13:00--
場所:京大数理研109号室 (これまでと部屋が違います)
発表者:Yu Yang氏(京大数理研)
題目:p-groups and semi-stable reduction of curves in positive characteristic
概要:In this talk, we will explain the following theorem proved by M. Raynaud in
his paper "p-groupes et réduction semi-stable des courbes".

Let G be a finite $p$-group, and let $X$ be a smooth stable curve over a
complete DVR with algebraically residue field of characteristic $p>0$ and
$f: Y \rightarrow X$ a morphism of stable curves over $S$. Suppose that the
morphism on generic fibers induced by $f$ is a \'etale covering whose
Galois group is isomorphic to $G$. Then the $p$-rank of $f^{-1}(x)$ is
equal to zero for each closed point $x$ of $X$.



1月
日時:1月24日 13:00--
場所:京大数理研402号室
発表者:越川皓永氏(京大数理研)
題目:Bhatt-Morrow-Scholzeのintegral p-adic Hodgeのpreprintの解説



2016年


12月
日時:12月13日 13:00--
場所:京大数理研402号室
発表者:跡部発氏(京大)
題目:テータ対応入門
概要:保型表現の構成法の一つに、テータリフトというものがある。
これはテータ関数と呼ばれる2変数の保型形式を核関数として積分することにより得られる一般的なリフトであり、
齋藤・黒川リフトなどの古典的なリフトを含むものである。
また、局所的には GL(2) のJacquet-Langlands 対応や Base Change リフトなども実現できる。
今回はテータリフトの定義から始め、基本的な性質とその応用について解説する。



11月
日時:11月15日 13:00--
場所:京大数理研402号室
発表者:三原朋樹氏(東工大)
題目:perfectoid affinoidとaffinoid perfectoidについて
概要:adic空間という概念の定義を紹介し、その特別なクラスである
perfectoid affinoid空間とaffinoid perfectoid空間を比較する。
特に正標数の場合は双方が一致するということを示す。



10月
日時:10月18日 13:00--
場所:京大数理研402号室
発表者:三原朋樹氏(東工大)
題目:Berkovich空間の位相的側面
概要: rigid幾何における1つの定式化としてBerkovich spectrumを用いたものがある。
Berkovich spectrumは他の定式化で用いられる空間と違い、それ自身が位相空間として
扱いやすいという特徴がある。今回はBerkovich spectrumの定義と位相を復習し、特に
p進連続関数環のBerkovich spectrumがある種の普遍性を持つということと、その応用
としてNのストーンチェックコンパクト化βNについて「βN\N上のp進連続関数環が
高さ0の極大イデアルを持つ」という命題がZFC公理系において証明も反証もできない
ということを証明する。



9月
日時:9月27日 13:00--
場所:京大数理研402号室
発表者:川島誠氏(阪大)
題目:G関数とその形式的Melin変換で表される級数の特殊値の数論的性質について
概要:G関数とその形式的Melin変換で表される級数の無理数性、超越性について先行研究及び自身の結果について紹介致します。
G関数については先行研究の紹介が主で、後者の級数については、自身の研究についての紹介が主になるかと思われます。



8月
日時:8月9日 13:00--
場所:京大数理研402号室
発表者:星裕一郎氏(京大数理研)
題目:絶対不分岐底上に安定還元を持つ曲線の等分点について
概要: k を標数 p > 2 の代数閉体, W を k 係数 Witt 環, K を W の商体, X を K 上の射影的
な双曲的曲線, J を X の Jacobi 多様体とします.  このとき, X のある K 有理点に付随
する Albanese 埋め込みを考えることによって, X を J の閉部分多様体と見做すことがで
きます.  以下, x を, X の等分点, つまり, X の閉点であって, J において等分点となっ
ているものとします.  R. Coleman は, 1987 年の論文で, 以下の主張を予想として述べま
した. 

以下の 3 つの仮定が満たされるならば, x は K 有理的:  (1) p > 3 (2) X は W 上に良
還元を持つ (3) 組 (X, x) は K の部分代数体に降下可能. 

そして, Coleman は, p 進アーベル積分の理論を用いることで, 実際に, 例えば以下の結
果を証明しました. 

上記の予想の設定のもと, 更に以下の 2 つの条件のいずれかが成立するとき, x は K 有
理的:  (a) p > 2 (X の種数) (b) J の W 上の良還元の特殊ファイバーは通常. 

また, 上記の予想に関連した研究として, 玉川安騎男先生は, 2001 年の論文で, 例えば以
下の結果を証明しました. 

以下の 4 つの仮定が満たされるならば, x は K 有理的:  (1) p > 23 (2) X は W 上に安
定還元を持つ (3) X は超楕円的でない (4) J の W 上の半安定還元の特殊ファイバーのア
ーベル多様体部分は通常. 

この講演では, X が W 上に安定還元を持つ場合の等分点 x に関わる数論幾何学につい
て, 議論をしたいと思います.  この講演における主要な結果の 1 つとして, 例えば, 以下
の結果が得られます. 

上記の Coleman の予想の最初の 2 つの仮定 (1), (2) が満たされるならば, (x 自身が
実際に K 有理的かどうかはまだわからないが, 少なくとも) x の p 倍 px は K 有理的. 

議論に用いられる主要な道具は,

* 上で述べた玉川先生の結果の証明に用いられたアイデア (勝手に名付けるなら
ば, "2a = b + c  ==>  a = b = c " 論法)

と

* W 上の有限平坦可換群スキームから生じる Galois 表現に関する古典的な事実 (具体的
には, Fontaine による分岐の上限や p 進 Hodge 理論, また, 生成ファイバーへの移行に
対する Raynaud による充満忠実性)

となります. 
(注意: 基本的には, 12 月の数理研数論セミナーでの講演と同じ内容の講演となります.)  



7月
日時:7月5日 13:00--
場所:京大数理研402号室
発表者:長町一平氏(東大数理)
題目:Log-shell, log-volume and log-link



6月
日時:6月21日 13:00--
場所:京大数理研402号室
発表者:望月新一氏(京大数理研)
題目:The Mathematics of Mutually Alien Copies: from Gaussian Integrals to Inter-universal Teichmüller Theory



5月
日時:5月24日 13:00--
場所:京大数理研402号室
発表者:山下剛(京大数理研)
題目:多重ゼータ値入門
内容の予定:
0章:イントロ(定義・次元予想・等圧予想)
1章:多重ポリログ・積分表示・双対性・双シャッフル関係式(組み合わせ論的な関係式)
2章:KZ方程式・アソシエーター関係式・Grothendieck-Teichmuller群(曲線のモジュライの幾何の対称性からくる関係式)
3章:代数的K理論からくる関係式(スケッチ)(淡中解釈・モチーフ的基本群)
4章:組み紐圏・準三角準Hopf量子化普遍包絡代数・Grothendieck-Teichmuller群(スライド)


4月
日時:4月26日 13:00--
場所:京大数理研402号室
発表者:大下達也氏(愛媛大)
題目:Galois変形のEuler系と双対精Selmer群の擬同型類について


3月
日時:3月15日 13:00--
場所:京大数理研420号室
発表者:南出新氏(京大数理研)
題目:組み合わせ論的遠アーベル幾何入門その2


2月
日時:2月16日 13:00--
場所:京大数理研006号室
発表者:中村健太郎氏(佐賀大)
題目: 階数2の場合の局所及び大域イプシロン予想について
概要: Bloch-加藤の玉河数予想及び岩澤主予想の両者を包含する
   膨大な一般化として、加藤和也氏は、大域p進Galois表現の全ての
   族(のGaloisコホモロジー)に対して、L関数の代数的な化身である
   ゼータ元が存在し(一般化岩澤主予想)、ゼータ元はL関数と同様の
   関数等式を満たす(大域イプシロン予想)と予想した。
   講演タイトルにある局所イプシロン予想とは、ゼータ元の関数等式に現れる
   局所因子に関する予想で、ゼータ元の局所版として、全ての局所p進Galois表現
   の族に対して、局所イプシロン同型と呼ばれる局所因子にあたるものが存在する    ことを主張している。

   発表者は近年、階数2のGalois表現の族に対する局所イプシロン予想と
   ColmezのGL_2(Q_p)に対するp進局所Langlands対応の理論との間に緊密な
   関係があることを発見し、階数2のGalois表現の族に対する局所及び大域
   イプシロン予想に関して幾つかの結果を得た。

   今回のセミナーでは、(上記の予想について簡単に復習した後)これらの結果
   及びその証明について解説する。


1月
日時:1月25日 13:00--
場所:京大数理研420号室 (これまでと部屋が違います)
発表者:南出新氏(京大数理研)
題目:組み合わせ論的遠アーベル幾何入門


2015年

12月
日時:12月23日 13:00--
場所:京大数理研402号室
発表者:川島誠氏(阪大)
題目:Coleman p進積分論


11月
日時:11月25日 12:30--
場所:京大数理研402号室
発表者:小関祥康氏(京大数理研)

題目:代数体上の CM 楕円曲線に付随する mod p表現の絶対既約性について

概要:代数体 K 上の楕円曲線 E の p 等分点(p:素数)の
   成す加群 E[p] への K の絶対ガロア群 G の作用は、
   2次元 F_p 表現ρ:G → GL_2(F_p)を定義します。
   この表現の性質は E が CM を持つか否かによって大き
   く異なることがよく知られています。今回の話では E
   が CM を持つ場合にρがいつ絶対既約になるかという
   古典的な問題についてお話しします。また、

   1.モジュラー曲線のCM点との関係
   2.Rasmussen-玉川予想(あるアーベル多様体の個数の有限性予想)との関係
   3.上のρは特定の素点の分解群に制限してもなお絶対既約になる

   などの話もします。
   今回の話ではそこまで難しい知識を特に必要としません。
   お気軽にご参加ください。


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