平成21年度プロジェクト研究

非線形分散型偏微分方程式の定性的研究

(Qualitative Study on Nonlinear Partial Differential Equations of Dispersive Type)

 

【組織委員】     堤 誉志雄(京都大学大学院理学研究科・教授)

                          岡本 久(京都大学数理解析研究所・教授)

                          小澤 徹(早稲田大学先進理工学部・教授)

                          高岡秀夫(北海道大学理学研究科・教授)

                          太田 雅人(埼玉大学理学部・准教授)

 

1.研究計画の概要

最近15年間において,非線形分散型方程式研究は調和解析学研究(特に,フーリエ解析)と結びつき著しく進展した.しかし,非線形シュレディンガー方程式、KdV方程式、ベンジャミン・小野方程式を初めとする非線形分散型偏微分方程式の解の漸近挙動には多くの数学的未解決問題が存在している。その数学的な解決を目指して共同研究を行う。堤誉志雄を組織委員長とする5名の組織委員会によって国際シンポジウムを3回開催する。この方面の最前線で活躍している外国人研究者を招聘する予定である.

 

2.目的

非線形分散型方程式の一般解は激しく振動しているため,古典解を研究するより弱解を研究することの方が自然であると考えられている.1993年にBourgainがフーリエ制限法を開発したことにより,非線形分散型方程式の非線形効果と分散効果の相互作用はかなり精密に解析できるようになり,その結果として非線形分散型方程式の初期値問題に対しては,非常に広い関数空間において時間局所解を構成することが可能となった.これは非線形分散型方程式の初期値問題に対する弱解の研究に大きな進展をもたらしたが,一方でその大域的な挙動については多くが未解決である.フーリエ制限法や最近のColliander, Keel, Stafillani, Takaoka and TaoによるI-methodの進展を受け,非線形散乱理論や定在波解の安定性・不安定性理論についての新しい知見を探ることを目的とする.

 

3.実施計画

平成21年7月に小澤徹が,数理解析研究所研究集会「調和解析学と非線形偏微分方程式」 (場所:京大 人環・大講義室) を開催する. 西畑伸也は「流体と気体の数学解析」 (場所:京大会館 210) を開催する. 高岡秀夫は平成21年11月に,非線形分散型方程式の初期値問題に対する可解性や散乱理論に関する研究集会 (場所:北大・学術交流会館)を開く. 平成22年1月には太田雅人が,研究集会「Stability of Solitary Waves and Variational Problems」 (場所:埼玉大学理学部を開催する.