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平成13年度 プロジェクト研究

21世紀の低次元トポロジー


共同研究集会「明日の低次元トポロジー」
開催: 1月7日 14:00 〜 1月10日 12:00

低次元トポロジーセミナー
3月14日 Alexander Fel'shtyn
3月8日 Ruifeng Qiu, 寺垣内政一

短期共同「3次元多様体の Heegaard 分解と Dehn 手術及びそれらに関連した話題について」
開催: 6月11日〜15日 Photo Gallery I Photo Gallery II

低次元トポロジーにおける幾何的手法に関するセミナー

「Invariants of knots and 3-manifolds」
研究集会(短期共同)「結び目と3次元多様体の不変量に関するトポロジー」: 9月17日〜21日
セミナー: 9月の火曜と木曜の午後(研究集会以外の週)


研究計画の概要

ここでいう低次元トポロジーとは,主に3次元多様体,およびそれに埋め込まれた グラフ(1次元複体)の研究をさす.つまり,3次元多様体自身の研究はもちろん, いわゆる結び目理論(1次元球面の3次元球面への埋め込み)なども含めて考える.

トポロジー(位相幾何学)という分野の始まりを1895年における H. Poincare' の `Analysis situs' と考えれば,この分野における「低次元」への注目は,その当 時から始まっていた.その一つが1904年に提示された有名なPoincare' 予想である. この予想は「高次元」に関しては解決されたが「低次元」については100年を経と うとする今も未解決であり,なお数学者を魅了してやまない.低次元トポロジー の魅力の一つとして低次元固有の複雑さが挙げられるが,そればかりではなく, 低次元のもの(3次元多様体やそれに含まれる結び目など)は「目で見て感じ取る ことができる」というのもあろう.

さて,20世紀の大部分は,低次元のものを研究するにために,代数的トポロジー の手法や直接幾何的な方法,いわゆる「切り貼り技巧」などを駆使してきた.つ まり,ある意味では他の分野の結果を低次元トポロジーに応用してきたのである.

ところが,1980年代のV. Jones やE. Witten の登場から様相は変化してきた. Jones は作用素環論を応用して全く新しい,しかし理解しやすい結び目の不変量 (L. Kauffman にもよる)を導入し,その後,多くの数学者によって,一連の不 変量に拡張された. Witten は,それら不変量を3次元多様体に拡張するとともに, 物理学の観点からの別の解釈を与えた.(不変量の厳密に数学的な定義は N. Reshetikhin と V. Turaev によって最初に与えられた.)また,それに引き続く V. Vassiliev, M. Kontsevich, 大槻知忠らの研究によって,量子不変量と呼ば れるこれらの不変量にはさらに新たな数学的解釈が与えられ,「不変量全体のな す空間」を考えることに注目が集まっている.この結果,低次元トポロジーで使 われた手法が他の分野(数論,表現論,可積分系などの数学のみならず,理論物 理)にも応用されるに至った.つまり,今では低次元トポロジーは,他の分野の 手法を使って研究するという立場から,逆に他の分野にアイディアを提供するよ うにもなってきたのである.

一方,W. Thurston による3次元多様体の一意化定理の証明,D. Gabai による3次 元多様体上の taut な葉層構造の存在定理の証明などにおいては多様体上の様々 な構造まで込めた切り貼り技巧が用いられている.また Gabai によって,結び目 の Property R 予想の解決の際に導入された, thin position の概念は(その起 源は H. Schubert による2橋結び目の分類の仕事の中に見出せるが)その後 C. Gordon と J. Luecke による結び目の補空間予想の証明の際に本質的な役割を果 たしている.更に M. Scharlemann と A. Thompson は,この概念を一般の3次元 多様体に拡張しこれを用いた結び目のトンネルに関する応用が Scharlemann, J. Schultens, 森元勘治等によって得られている.このように「切り貼り技巧」, 「Morse 関数を用いた多様体の解析」といった古典的な手法を使った低次元多様 体の研究の最近の発展にも目を見張るものがある.

本プロジェクトでは,上述のような低次元トポロジーの近年の発展に鑑み,その 発祥から 100年を超えた21世紀を迎えるにあたって,新世紀における研究の方向を 考えてゆきたい.また,低次元トポロジーという分野が広がってきたことにより, 研究対象を同じにしながらもともすれば専門を異にする研究者の間での交流が疎 遠になりがちである.この機会に,低次元トポロジーをキー・ワードに人的交流 ・情報交換を促したい.

新世紀の始まりにあたり,長い歴史をもつ伝統の町京都において,多くの研究者 が交流し21世紀への展望を得ることを期待する.

参加予定者:
D. Bachman, University of Illinois, Chicago (6月10日 - 6月17日)
D. Bar-Natan, Hebrew University (9月11日 - 9月29日)
R. Benedetti, University of Pisa (9月12日 - 9月28日)
S. J. Bigelow, University of Melbourne (9月3日 - 9月28日)
J. Scott Carter, University of South Alabama (1月4日 - 1月10日)
N. Chbili, Monastir Faculty of Sciences (7月18日 - 10月13日)
D.H. Choi, Korea Advanced Institute of Science and Technology (6月10日 - 6月23日)
S. Duzhin (Steklov Institute of Mathematics)
T. Ekholm, University of Uppsala (5月10日 - 6月2日)
L. Funar, University of Grenoble (7月1日 - 9月30日)
S. Garoufalidis, Georgia Institute of Technology (9月22日 - 9月27日)
Y. Han, Liaoning Normal University (9月1日 - 9月30日)
S. K. Hansen, University of Strasbourg (9月1日 - 10月5日)
Ko Honda, University of Southern California (1月5日 - 1月10日)
M.-J. Jeong, Kyungpook National University (9月16日 - 9月28日)
G.-T. Jin, KAIST (9月17日 - 9月22日)
T. Kerler, Ohio State University (9月3日 - 9月16日)
A. Kricker, University of Sydney (9月3日 - 10月2日)
G. Kuperberg, University of California, Davis (9月15日 - 9月22日)
T. Le, State University of New York, Buffalo (7月5日 - 10月4日)
S. Lee, Korea Advanced Institute of Science and Technology (6月10日 - 6月23日)
F. Lei, Harbin Institute of Technology (8月1日 - 10月31日)
C. Lescop, University of Grenoble (9月10日 - 9月28日)
X.-S. Lin, University of California, Riverside (9月8日 - 9月22日)
G. Masbaum, University of Paris VII (9月15日 - 10月12日)
T. Mattman, California State University, Chico (5月22日 - 8月22日)
S. Matsumoto, Master's College (1月6日 - 1月12日)
H. R. Morton, University of Liverpool (9月14日 - 10月27日)
S. Oh, Chonbok National University (6月10日 - 6月23日)
C.-Y. Park, Kyungpook National University (9月16日 - 9月22日)
M. Polyak, Tel-Aviv University (9月18日 - 10月12日)
J. Przytycki, George Washington University (9月8日- 9月21日)
R. Qiu, Jilin University (1月5日 - 4月4日)
Y. Rieck, University of Arkansas (1月 - 12月)
J. Roberts, University of California, San Diego (8月8日 - 9月19日)
J. Sawon, University of Oxford (9月5日 - 10月3日)
M. Scharlemann, University of California, Santa Barbara (4月5日 - 7月4日)
J. Schultens, Emory University (5月1日 - 7月31日)
E. Sedgwick, DePaul University (6月10日 - 6月24日)
A. Sikora, University of Montreal (9月4日 - 9月21日)
T. Stanford, New Mexico State University (9月9日 - 9月26日)
A. Tamulis, Cardinal Stritch University (1月6日 - 1月12日)
Z. Tao, Hangzhou Institute for Applied Engineering and Technology (9月1日 - 11月20日)
D. Thurston, Harvard University, Cambridge (9月5日 - 12月5日)
V. Touraev, University of Strasbourg (9月10日 - 12月9日)
T. Yashiro, University of Auckland (7月22日 - 7月25日)
秋吉 宏尚 (大阪大学)
池田 徹 (高知医科大学)
井上 歩 (東京工業大学)
今井 淳 (東京都立大学)
大山 淑之 (名古屋工業大学)
奥田 直介 (東京工業大学)
鎌田 聖一 (大阪市立大学)
河東 泰之 (東京大学)
川村 友美 (東京大学)
菊池 健太郎 (東京工業大学)
金 英子 (奈良女子大学)
合田 洋 (東京農工大学)
河野 俊丈 (東京大学)
牛腸 徹 (東京大学)
小林 雅子 (聖母被昇天学院女子短期大学)
佐藤 進 (京都大学)
志摩 亜希子 (東海大学)
高田 敏恵 (新潟大学)
田中 利史 (九州大学)
田村 誠 (大阪産業大学)
塚本 達也 (ニューヨーク州立大学バッファロー校)
寺垣内 政一 (広島大学)
鳥巣 伊知郎 (秋田大学)
中坊 滋一 (久留米工業高等専門学校)
新國 亮 (東北大学)
畠中 英里 (東京工業大学)
葉広 和夫 (京都大学)
林 忠一郎 (日本女子大学)
平澤 美可三 (学習院大学)
水摩 陽子 (東京工業大学)
村杉 邦男 (トロント大学)
茂手木 公彦 (日本大学)
森元 勘治 (拓殖大学)
矢木 達也 (東京工業大学)
安原 晃 (東京学芸大学)
山田 修司 (京都産業大学)
山田 知秀 (東京工業大学)
山田 裕一 (電気通信大学)
横田 佳之 (東京都立大学)
吉川 克之 (関西学院大学)
吉田 はん (奈良女子大学)
和久井 道久 (大阪大学)

このプロジェクト研究は 財団法人数理科学振興会, 財団法人住友財団日本学術振興会財団法人三菱財団, 財団法人井上科学振興財団 からの援助も受けています。


組 織 委 員
| 村上 斉(東京工業大学) | 大槻 知忠(東京工業大学) | 小林 毅 (奈良女子大学) | 齋藤 恭司(京都大学) |
| 作間 誠 (大阪大学) | 谷山 公規(早稲田大学) | 村上 順 (早稲田大学) |