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Abstract:

ヴィラソロ代数のユミタリー表現は,代数のcenter $c$ の値 ($0\leq c<1$ or $1 \leq c$)によってその様子が大きく異なる ことが知られている.すなわち,$0\leq c<1$では既約ユニタリー 表現は,有理数に値をとるコンフォーマル次元によって定められ かつ有限個しかない.これに反し,$1 \leq c$では既約ユニタリー 表現は無数に現れ,かつ有理性も一般には見られない.

弦理論のコンパクト化で現れる共形場理論には, $c=1,2,3, \cdots $ の様に整数値に値を取るヴィラソロ代数が現れる.このような共形場 理論は,変形のモジュライを伴っているのが特徴で,generic には 有理性を持たないが,有理性を持つ点がモジュライ空間上稠密に現れる. 例えば,$c=1$の場合,モジュライは``半径" $R$となり,$R^2=p/q$ (有理数)となる所で有理性が現れることが知られている.

ここでは,$c=2$($T^2$上の弦理論コンパクト化)の場合を考察し, この場合に最近 B.Lian, 小木曽啓示氏,S.-T. Yau との共同研究に よって得られた、有理共形場理論の完全分類の結果を紹介する. 扱うモジュライ空間は,Narain moduli space と呼ばれるもので, それを扱う際に,古典的なガウス・ディリクレによる2元2次形式の 理論が現れる.