日時: 2006年7月26日(水) 16:30〜17:30
場所: 京都大学数理解析研究所 202 号室
講演者: Gopal Prasad 氏 (University of Michigan)
題目: Fake projective planes
Abstract: A fake projective plane is a smooth compact complex surface which is not the complex projective plane but has the same Betti numbers as the complex projective plane. The first fake projective plane was constructed by David Mumford in 1979 using p-adic uniformization. Two more examples were found by M.Ishida and F.Kato using a similar idea. Just recently JongHae Keum has given an example which may be different from the three known examples.

In a joint work with Sai-Kee Yeung, I have given seventeen finite families of examples of fake projective planes and shown that these, and possibly three more, exhaust them.

In another joint work with Sai-Kee Yeung I have studied quotients of the complex ball of dimension n by cocompact arithmetic subgroups of PU(n,1), and shown that except for n = 2 and 4, there are no quotients whose Betti numbers equal that of complex projective space of dimension n. If n = 4 there are four nonisomorphic quotients which have same Betti numbers as P^4.

I will give an exposition of these results for a general mathematical audience.


日時: 2006年7月12日(水) 16:30〜17:30
場所: 京都大学数理解析研究所 202 号室
講演者: 葉廣 和夫 氏 (京大・数理研)
題目: タングルのなす圏について
Abstract: 結び目の量子不変量の研究において重要な役割を果たす概念として、 タングルのなす圏がある。基本的なアイデアは、結び目をいくつかの 単純なピース(タングル)のコピーの合成として表し、 また、そのような合成たちが同じ結び目を表すための条件を、 組み合わせ的・代数的な言葉で記述することである。 このような記述(タングルの圏のモノイダル圏としての表示)により、 トポロジーを忘れて、結び目の不変量を純粋に代数的に扱うことができる。

上記のアイデアの解説に加えて、 「ハンドルボディ内の底タングルのなす圏」 B についても考える。 B の対象は非負整数であり、m から n への射は、 種数 m のハンドルボディ内の n 成分の底タングル (n個の区間からなる1次元部分多様体で、ある適当な性質を満たすもの)である。 B の代数的構造と結び目不変量への応用について解説する。

日時: 2006年7月5日(水) 16:30〜17:30
場所: 京都大学数理解析研究所 202 号室
講演者: 種村 秀紀 氏 (千葉大・理)
題目: Laguerre 過程の漸近挙動 [pdf]

日時: 2006年6月28日(水) 16:30〜17:30
場所: 京都大学数理解析研究所 202 号室
講演者: 山ノ井 克俊 氏 (京大・数理研)
題目: 有理型関数の値分布論について [pdf]

日時: 2006年6月21日(水) 16:30〜17:30
場所: 京都大学数理解析研究所 202 号室
講演者: Pavle Pandzic 氏 (University of Zagreb)
題目: Dirac operators in representation theory
Abstract: Dirac operators have entered representation theory of semisimple Lie groups in the 1970s through the work of Parthasarathy on the construction of discrete series representations. In 1997 Vogan has proposed an algebraic version of Parthasarathy's Dirac operator. His conjecture about the infinitesimal character of unitary representations for which the Dirac operator has a kernel (or cohomology) was proved in 2002 by J.-S. Huang and myself.

In the meantime, in part together with D.Renard, we have obtained some results about relationship of Dirac cohomology and the more standard nilpotent Lie algebra cohomology. Furthermore, we have studied analogues of Dirac operators and cohomology for basic classical Lie superalgebras. We have also been working on an algebraic version of Dirac induction, i.e., a functorial construction of representations with given Dirac cohomology.

In this talk I will give an introductory overview of the results mentioned above, mostly based on examples.


1. 『mKdV方程式の可解性と函数空間』
堤 誉志雄 氏 (京大・理)
 非線形発展方程式の初期値問題の適切性(解の存在,一意性,初期値に関する連 続依存性)の研究は,非線形偏微分方程式論における基本的研究課題の一つである. 一般に,この適切性が成立するかどうかは,方程式を考える函数空間に大きく依存す る.最近,Bourgainによって導入されたFourier制限法を用いることにより,非線形波 動方程式に対し,Fourier空間におけるエネルギー移送現象と初期値問題の適切性の関 係が少し分かってきた.(但し,流体力学で考察されているエネルギーカスケード過 程などとの関係は,まだはっきりしない点が多い.)今回の講演では,修正KdV方程式 を例に取り,弱い(即ち,広い)函数空間を取ると,どうして適切性が壊れるのか, また弱い函数空間で適切性を回復させるためにはどのような手法があるのかを, Fourier空間におけるエネルギーの流れという観点から解説したい.
2. 『マトロイド・マッチング --- 歪対称行列の組合せ最適化』
岩田 覚 氏 (京大・数理研)
 マトロイドは,線形独立性の組合せ論的抽象化として,1935年に H. Whitney によって導入された.数理計画法の分野においては, 1960年代以降,効率的に解くことのできる多くの組合せ最適化問題に 共通の構造として注目を集めてきた.一方で,効率的に解くことの できる組合せ最適化問題の中には,マトロイドや劣モジュラ関数の 理論では説明し尽くせないものもある.最も代表的で,興味深いのは, 一般グラフのマッチングであろう.
 マッチングをマトロイドと結びつけて理解するために, 1970年代に マトロイド・マッチング問題と呼ばれる枠組みが導入された.この 問題に対して,L. Lovasz (1980) は,一般のマトロイドでは多項式 時間解法が存在し得ないと同時に,線形表現されたマトロイドでは, 最大最小定理が成立し,多項式時間解法が存在することを示した. このような興味深い現象が起こる背景に関して,十分に理解された とは言い難い状況にあり,重み付き線形マトロイド・マッチング 問題に対する多項式時間解法の設計など,解決すべき課題は多い.
 本講演では,マトロイド・マッチング問題の概説を行う.特に, 歪対称行列との関連に着目した近年の研究成果も紹介する.

日時: 2006年6月14日(水曜日)14:40より
場所: 京都大学数理解析研究所 420号室(講演)

202号室 (Tea Break)


堤 誉志雄 氏 14:40-15:40 ( 420号室 )
Tea Break 15:40-16:30 ( 202号室 )
岩田 覚 氏 16:30-17:30 ( 420号室 )


日時: 2006年6月7日(水) 16:30〜17:30
場所: 京都大学数理解析研究所 202 号室
講演者: 宮本 安人 氏 (京大・数理研)
題目: 反応拡散系が呈するパターンと固有値問題
Abstract: 反応拡散方程式(系)は,化学や生物学に現れる現象を記述する 基礎的な方程式である.1960年代から現在まで,漸近安定性や 有限時間爆発など,さまざまな現象が発見され研究されてきた.本 講演では,活性因子・抑制因子系と呼ばれる反応拡散系の物理的 に実現可能である安定定常解に関する結果を中心に,定常解の形 状に関する結果を概観する.また非線形単独楕円型方程式の解の 形状とモース指数との関係における"hot spot" conjectureの非線 形版とも言うべき予想や,類似の固有値に関する重要と思われる未 解決問題について,ご紹介したい.

日時: 2006年5月31日(水) 16:30〜17:30
場所: 京都大学数理解析研究所 202 号室
講演者: Leon Takhtajan 氏 (SUNY at Stony Brook)
題目: Determinants of Laplace operators on Riemann surfaces and Kronecker limit formulas
Abstract: Kronecker limit formulas (proved by L. Kronecker in 1863 for application to algebraic number theory) can be interpreted as holomorphic factorization of determinants of Laplace operators on elliptic curves (with respect to the flat metric). We will discuss a generalization of Kronecker formulas for the Laplace operators on compact Riemann surfaces of genus g>1 with respect to the hyperbolic metric, acting on n-differentials.

日時: 2006年5月24日(水) 15:00〜16:00 (16:00より1階ロビーでtea)
場所: 京都大学数理解析研究所 202 号室
講演者: 金子 昌信 氏 (九大・数理)
題目: 多重ゼータ値の導分関係式について
Abstract: 多重ゼータ値の線型関係式のある広いクラスを提供する「導分関係式」という ものがある.これに関連して現れるリー環が Connes-Moscovici の最近のある 研究に現れるものと同じであることに目をつけ,彼らの考えているホップ代数 のまねをして上記「導分関係式」の一般化を考える. まだ予想の段階である が,どうもやはり多重ゼータ値の関係式で,一般には旧来の導分関係式には含 まれないものを与えるらしい. 実験結果を中心にお話したい.(勿論当日までに 証明が出来ていれば言うことはないのであるが.)

日時: 2006年5月24日(水) 16:30〜17:30 (16:00より1階ロビーでtea)
場所: 京都大学数理解析研究所 202 号室
講演者: Alan Weinstein 氏 (UC Berkeley)
題目: Hopfish algebras
Abstract: Multiplication on a group G is usually encoded as a coproduct in a suitable algebra A(G) of (continuous, smooth, algebraic, etc.) functions on G, i.e. as a homomorphism from A(G) to A(G) tensor A(G). The resulting structure on A(G) is that of a Hopf algebra. When G is the quotient of a circle by a dense cyclic subgroup, the only continuous functions are constants, but the methods of noncommutative geometry suggest an alternative: the so-called crossed product, or irrational rotation, algebra. This algebra, also called a quantum torus algebra, is not a Hopf algebra, but we can encode the group structure on the "bad quotient space" as a bimodule, giving rise to what we call a hopfish algebra.

In this talk, I will explain how bimodules play the role of generalized homomorphisms between algebras, in particular with reference to the notion of Morita equivalence. I will present the general notion of hopfish algebra and show, when applied to the irrational rotation algebra, how it gives rise to an interesting tensor product structure on a nice class of representations. (This is joint work with Christian Blohmann, Xiang Tang, and Chenchang Zhu.)

日時: 2006年5月17日(水)16:30〜17:30
場所: 京都大学数理解析研究所 202 号室
講演者: 上田 哲生 氏(京大・理)
題目: 複素射影空間の上の力学系
Abstract: 複素射影空間からそれ自身への正則写像はリーマン球面の上の有理関数の 高次元化と見なすことができる.その反復合成から1次元の場合と同様に ファトゥ集合を定義できる一方,その補集合は位数の異なるジュリア集合 によってフィルターづけされる.また,無限個の周期点ファトゥ成分が存 在しうるなどの新しい現象も生ずる.

このような1次元の場合と高次元の場合の共通点と相違点を比較しながら, 具体的な例の構成を中心にお話しする.

日時: 2006年5月10日(水) 16:30〜17:30
場所: 京都大学数理解析研究所 202 号室
講演者: Alexander Stoimenow 氏 (京大・数理研)
題目: 結び目とその交差数
Abstract: 19世紀には結び目は原子を表現し宇宙の構造を説明するもの と信じられてその詳しい研究が始まった。 その間違った動機で 結び目表(knot table)の作成が始まった。 結び目表に関係の 有る現代の研究問題について話をするつもりです。 特に図式から 交点数の決定と評価、自明な結び目の判定等を中心とします。 時間が残る場合、用いた手段と不変量を紹介したいです。

日時: 2006年4月26日(水)16:30〜17:30
場所: 京都大学数理解析研究所 202 号室
講演者: 竹広 真一 氏(京大・数理研)
題目: 地球・惑星・恒星内部の流れと回転する球殻内の対流問題
Abstract: 地球流体力学は, もともとは地球の大気や海洋の流れに内在する基本的な流体の 性質を説明するという理学的興味と, 天気予報に必要となる基本法則を与えるとい う工学的な知識を提供するために発展してきた分野である. しかしながら近年では, 地球内部のマントルや流体核, あるいは木星型惑星や太陽内部の流れに関連する観 測事実がふえてくるとともに, 地球流体力学が対象とする現象が拡がってきている.

本講演ではそのような最近の観測結果を紹介し, 地球・惑星・恒星内部の流体現 象を考察するための基本的なモデルである「回転する球殻内の対流」の問題につい て平易に解説する. いくつかの対流の数値計算例を紹介し, 物理法則から導かれる 流れの性質を解釈しながら, 近年の観測結果との関連を議論する.

日時: 2006年4月19日(水) 16:30〜17:30
場所: 京都大学数理解析研究所 202 号室
講演者: 稲場 道明 氏 (京大・理)
題目: 放物接続のモジュライとパンルベ第6方程式
Abstract: 射影直線上で4点の確定特異点を持つ2階の線形常微分方程式の モノドロミー保存変形はパンルベ第6方程式と等価である。

よってこのような線形常微分方程式のモジュライ空間がパンルベ方程式の 初期値空間と見なされるべきである。

実際には線形常微分方程式のモジュライを放物接続のモジュライとして 捉えることにより、このモジュライ空間が岡本和夫氏によって構成された パンルベ第6方程式の初期値空間と同型であることが示される。

さらにこのモジュライ空間のコンパクト化の構成もできて、初期値空間の コンパクト化と同型であることが示される。

また、基本群の表現のモジュライ空間との関係から、モノドロミー保存変形の 幾何学的パンルベ性という性質が導かれることにも触れる。

日時: 2006年4月12日(水) 16:30〜17:30
場所: 京都大学数理解析研究所 202 号室
講演者: 小林 俊行 氏 (京大・数理研)
題目: 局所的に同じ対称性をもつ空間がとりうる大域的な形
Abstract: 「局所から大域へ」は20世紀の幾何における大きな流れであり、 とりわけリーマン幾何において大きな成果が得られてきた。その一方で 相対性理論でおなじみのローレンツ幾何やもっと一般の不定値計量を もつ擬リーマン幾何や他の幾何構造(シンプレクティック, 複素, ...) などに関しては、局所的な均質性を課した場合でさえ大域的な性質は 驚くほど何もわかっていない。

局所的な均質性に関していえば、リーマン対称空間をモデルとする場合は、 古典的な多くの結果が知られている:例えば、リーマン対称空間と局所同型 なコンパクト形は常に存在する(Borel)。(一例として、Poincare上半平面に 対しては、種数2以上の閉リーマン面がコンパクト形である)。また、高次元 の場合には、大まかにいえば、基本群が幾何構造を決定する(剛性定理)。

その反面、自然なリーマン計量が入らない一般の対称空間では、不連続群が 殆どない場合(Calabi-Markus現象)や高次元でも「剛性定理」が成り立たない 場合(例えばGoldmanによる3次元の非標準ローレンツ閉空間形)など、個別の 不思議な現象が発見されているが、研究分野としては非常に若い段階にある。

この講演では、非リーマン等質空間の不連続群に関して、リー群の構造論、 エルゴード理論、ユニタリ表現論、離散群のコホモロジーなどの手法を 取り込んだ1990年代以降の研究と問題意識について、群論的な背景から できるだけ具体的な例をあげてお話をしたい。

日時: 2006年1月18日(水) 16:30〜17:30
場所: 京都大学大学院理学研究科 数学教室大会議室
講演者: 会田 茂樹 氏 (阪大・基礎工)
題目: Rough path analysis and cohomology on a loop space
Abstract: 単連結な多様体上の微分形式を逐次積分してその多様体の上のループ空間上の コホモロジーを与えるK.T.Chenの理論がある。Chenの議論ではこの逐次積分 は、区分的に滑らかなパスに対して定義されている。一方、ループ空間上のブ ラウン運動の測度を用いてループ空間上の微分幾何学を研究している研究者も いた。ブラウン運動の測度とMalliavinの意味での微分を用いれば、$L^2$のみ ならず色々なソボレフ空間に属する微分形式の空間が定義できるが、ループ空 間が無限次元のため、ソボレフの意味で何回でも微分可能かつそれらの微分が すべての可積分性をもつと仮定してもその微分形式は連続性を持たないものが 存在するなど、有限次元の場合とは大きく事情が異なる。従って、通常の Fr\'echetの意味での微分可能性を持つ微分形式の空間のコホモロジーとこれ らのソボレフ空間の微分形式の空間のコホモロジーの次元が同じになるかとい うことは自明な問題ではない。良く知られているように、確率1でブラウン運 動のパスは、すべての時刻で微分不可能である。したがって、Chenの逐次積分 は定義できないが、確率積分を用いて、積分を定義し、ソボレフ空間の微分形 式の空間のコホモロジーを定義しようと言う動きが1980年代後半から1990年代 前半にあった。$S^2$上でその体積要素を逐次積分して得られるループ空間上 の1formは通常の滑らかなパスの世界では消滅しないコホモロジー類を与える のはよく知られたことだが、ソボレフ空間の方で考えても消滅しないというこ とが証明されている。 講演では、この簡単な例について、同じChenの逐次積分に基づいて確率微分方 程式の解を解析する手段を与えたT.Lyonsのrough path analysisを用いて、ど のように証明されるかを述べたい。

日時: 2006年1月11日(水) 16:30〜17:30
場所: 京都大学大学院理学研究科 数学教室大会議室
講演者: 並河 良典 氏 (阪大・理)
題目: 複素シンプレクティック多様体の変形、特異点解消
Abstract: 特異点をもった複素シンプレクティック多様体の変形 について講演する。その応用として、つぎの2つを 示す。

(i) 極小モデル予想を仮定すれば、(標準特異点を もった)射影的複素シンプレクティック多様体 X が、 変形のよってスムージング可能であることと、X が クリパントな特異点解消をもつことは同値である。

(ii) 複素シンプレクティック多様体の間のフロップ で、両者の特異点には変化が生じない。

Research Institute for Mathematical Sciences