全学共通科目(1回生〜4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
  ―― 基礎概念とその諸科学への広がり

授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第1回
日時: 2004年4月16日(金)
      16:30−18:00
場所: 数理解析研究所 420号室
講師: 岡本 久 教授
題目: 非線形波動の数理  [ 講義のPower-Pointファイル ]
要約:
池に石を投げ込めば水面が乱され、それが波となって伝わって行く。 そうした波のメカニズムはわかっているとも言えるし、 わかっていないとも言える。 わかっているというのはその現象を記述する基礎方程式を書き下すことができる、 という意味である。わかっていないというのは、 その基礎方程式を解くことが非常に難しいという意味である。 解くことが難しいというのは、数学的に厳密に実行することはもちろんのこと、 数値計算で近似解を得ることですら難しいということである。 こうした水面波を始めとする非線形現象を紹介し、 そこで数学者たちがどのように苦闘しているかを解説したいと思う。