全学共通科目講義(1回生〜4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
  ―― 基礎概念とその諸科学への広がり

授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第5回
日時: 2004年5月21日(金)
      16:30−18:00
場所: 数理解析研究所 420号室
講師: 竹井 義次 助教授
題目: テイラー展開と微分方程式 --- 発散級数をめぐって
要約:
テイラー展開や漸近展開など、 関数をいろいろな無限級数の形で表わすというのは解析学の基本的な方法の一つである。 この級数展開の方法を用いて微分方程式を解くと、 収束級数だけではなくしばしば発散級数が現れる。しかし、 こうした発散級数の背後に広がる世界は今でも十分に理解されたとは言い難い。 この講義では、テイラー展開やラプラス変換の簡単な解説から始めて、 微分方程式の発散級数解の背後に広がる世界を垣間見ることを目標とする。