全学共通科目講義(1回生〜4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
  ―― 基礎概念とその諸科学への広がり

授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第2回
日時: 2007年4月20日(金)
      16:30−18:00
場所: 数理解析研究所 420号室
講師: 葉廣 和夫 講師
題目: タングルのカテゴリーと結び目の不変量
要約:
結び目とは、3次元空間に埋め込まれた円周のことです。 トポロジーでは、2個の結び目が連続的な変形によって互いにうつり合うとき、 同等なものと見なします。
結び目の不変量とは、結び目に数学的な量(多項式、複素数など)を 対応させるもので、同等な結び目に対しては同じ量を与えるもののことです。

ジョーンズ多項式は、1980年代に発見された結び目の不変量で、 さまざまな一般化とともに、現在においても盛んに研究されている対象です。
この講義では、タングルのカテゴリー(圏)というものを使った ジョーンズ多項式の定式化について、解説します。


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