全学共通科目講義(1回生〜4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
  ―― 基礎概念とその諸科学への広がり

授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第4回
日時: 2007年5月11日(金)
      16:30−18:00
場所: 数理解析研究所 420号室
講師: 岡本 久 教授
題目: ナヴィエ・ストークス方程式の話
要約:
ナヴィエ・ストークス方程式は流体力学の基礎方程式である。流体力学 というと物理学か工学の話と思われるかもしれないが、ばりばりの数学 の話である。そもそもこれは偏微分方程式であるのでその解の存在・非存在 あるいは解の定性的性質を研究したりすることは数学者の使命になっている。
ナヴィエ・ストークス方程式の実用上の重要性はよく知られている。生協 の書籍部に行けばナヴィエ・ストークス方程式の数値計算法に関する本が 多々あることに気づくはずだ。一方でその数学的な困難はよく知られて おり、クレイ研究所のミレニアム問題の一つとして掲げられてもいる。 こうしたおもしろさを大学1年時における微積分程度の知識だけで概観できる ようにすることが目的である。

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