全学共通科目講義(1回生〜4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
  ―― 基礎概念とその諸科学への広がり

授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第11回
日時: 2007年7月13日(金)
      16:30−18:00
場所: 数理解析研究所 420号室
講師: 玉川 安騎男 教授
題目: 射影幾何学の基本定理とその現代的展開
要約:
射影幾何学の基本定理は、今からちょうど100年前の 1907年に出版された Oswald Veblen の論文 ``Collineations in a Finite Projective Geometry'' ではじめて(有限体上の場合に)証明され、また、 今からちょうど50年前の1957年に出版された Emil Artin の著書 ``Geometric Algebra'' で詳しく 取り上げられました。

この講義では、まず射影幾何学の基本定理の内容 とその証明の概略を平易に解説します。その後で、 この古典的定理のいくつかの現代的展開について、 特に遠アーベル幾何への応用を中心にお話し したいと思っています。


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