全学共通科目講義(1回生〜4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
  ―― 基礎概念とその諸科学への広がり

授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第2回
日時: 2009年4月17日(金)
      16:30−18:00
場所: 数理解析研究所 420号室
講師: 有木 進 准教授
題目: 表現論の考えかたと問題意識
要約:
数学には表現論という大分野があります。手法は代数的・幾何的・解析的なものと多岐に わたるのですが、共通の問題意識を持って研究している部分も多いので、「あなたも私も 同じように表現論の研究者だね」という仲間意識を共有できています。ちなみに、数理研 には柏原正樹教授・中島啓教授・加藤周さんなど超優秀な表現論の研究者が棲息しており ます。

この講義では、前半で表現論の基礎用語、たとえば代数、表現加群、表現のなす圏、その Grothendieck群、既約加群、直既約加群、既約射などといった基礎概念を説明したいと思 います。講義の後半ではいろいろな例をとりあげて、表現論の問題意識は何か、どうやっ て個々の問題は解決されるか、といった点を説明していきたいと思います。


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