全学共通科目講義(1回生〜4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
  ―― 基礎概念とその諸科学への広がり

授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第13回
日時: 2009年7月10日(金)
      16:30−18:00
場所: 数理解析研究所 420号室
講師: 玉川 安騎男 教授
題目: ガロア理論とディオファントス幾何
要約:
何乗かすると1になる複素数を、1の冪根と呼びます。 今、2変数多項式 f(X,Y)を考えます。f(X,Y)=0の解(x,y)で、 x,yがともに1の冪根となるようなものが無限個あるとき、 f(X,Y)はどのような多項式になるでしょうか。

この問題の解答は、伊原・セール・テイトの定理として知られ、 ディオファントス幾何におけるモーデル・ラング予想の特別な 場合とみなすことができます。

この講義では、まず体のガロア理論について簡単に紹介した 後、上記の問題の解法を解説し、ガロア理論がその中で どのように活躍するかを見てもらいたいと思います。時間が 許せば、一般のモーデル・ラング予想とその周辺の話題に ついても少しお話しできればと思っています。


"http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/ja/special-02.html"