全学共通科目講義(1回生〜4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
  ―― 基礎概念とその諸科学への広がり



授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第9回
日時: 2012年6月22日(金)
      16:30−18:00
場所: 数理解析研究所 420号室
講師: 小澤 登高 准教授
題目: Banach--Tarski Paradoxとvon Neumannの問題
要約:
Hausdorff,及びBanach Tarskiは球体をいくつかに分割して それを別の方法で組み合わせることによって元の球体と同じものを2つ作る ことに成功した。呼び名に「paradox」とついているように, このバイバイン現象は一見明らかにおかしいと感じるかもしれないが, 実はそれほど馬鹿げたことではなく,実社会においてもある分野では 日常的に行われていることである。
本講義では,Banach--Tarski Paradoxと 関連事象を,それを説明するためにvon Neumannが持ち出した従順性の概念を 利用して説明する。

"http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/ja/special-02.html"