全学共通科目講義(1回生〜4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
  ―― 基礎概念とその諸科学への広がり

授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第13回
この講義は、レポートの後日提出は課さず、当日配布の簡単なプリントを講義時間内に提出してもらいます。
日時: 2017年8月4日(金)
      16:30−18:00
場所: 数理解析研究所 420号室
講師: 玉川 安騎男 教授
題目: スキームと数論幾何
要約:
スキームは、20世紀中頃にAlexandre Grothendieck(1928-2014)によって導入された概念で、現代の代数幾何学・数論幾何学の基礎をなすものです。スキームは、代数多様体(=多項式で定義された図形)の概念を拡張するものですが、その拡張ぶりはすさまじく、任意の可換環をスキーム上の関数空間ととらえることができます。

この講義は、スキームの概念のごく基礎的な部分を紹介することを第一目的とし、その中で可換環、位相空間、層などの概念に親しんでもらえればと思います。最後に、Grothendieckがその後提唱した遠アーベル幾何学との関係についても少しお話しできればと思っています。

予備知識は仮定しませんので、ふわっとした話が多くなると思いますが、柔軟な心で新しい概念との出会いを楽しんでもらえればと思います。

参考文献:
代数幾何学およびスキーム論の教科書としては、

  • R. Hartshorne, Algebraic Geometry(邦訳「代数幾何学1, 2, 3」)
が標準的です。入門書としては
  • D. Mumford, The Red Book of Varieties and Schemes(邦訳「代数幾何学講義」)
が好書です。

"http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/ja/special-02.html"