全学共通科目講義(1回生〜4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
  ―― 基礎概念とその諸科学への広がり



授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第12回
日時: 2018年7月13日(金)
      16:30−18:00
場所: 数理解析研究所 420号室
講師: 横田 巧 助教
題目: ポアンカレ予想とリッチフロー
要約:
ポアンカレ予想とは、1904年に出版された H. Poincaré の論文に由来する3次元閉多様体に関 する位相幾何学(トポロジー)の予想で、2002〜03年に G. Perelman がその証明を発表しまし た。実際には彼はポアンカレ予想を含む W. Thurston の幾何化予想を証明し、その証明には R. Hamilton が開発した(手術付き)リッチフローと、リーマン多様体の崩壊理論という微分幾何 学の手法が使われています。この講義ではポアンカレ予想とリッチフローの雰囲気が少しでも伝 わるような解説を試みたいと思います。

参考文献:

  • G. Perelman, The entropy formula for the Ricci flow and its geometric applications. Preprint; http://arxiv.org/abs/math/0211159 にて入手可.

  • P. M. Topping, Lectures on the Ricci flow. LMS Lecture Note Series, 325. Cambridge University Press, Cambridge, 2006; http://homepages.warwick.ac.uk/~maseq/RFnotes.html にて入手可.

  • 戸田 正人, 3次元リッチフローと幾何学的トポロジー (共立講座 数学の輝き) . 2017, 共立出版.

"http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/ja/special-02.html"