全学共通科目講義(1回生〜4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
  ―― 基礎概念とその諸科学への広がり

授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第9回
日時: 2019年6月14日(金)
      16:30−18:00
場所: 数理解析研究所 420号室
講師: 疋田 辰之 助教
題目: (q,t)-カタラン数について
要約:
カタラン数は様々な組み合わせ論的対象の数え上げの結果として現れることで有名で す。そのような組み合わせ論的解釈としては例えば凸多角形の三角形分割の個数や、 Dyck pathと呼ばれる格子上の道の個数といったものがあります。Garsia-Haiman はこのカタラン数の(q,t)-類似として(q,t)-カタラン数と呼ばれるものを導入しまし た。
これはqとtという変数に関する多項式で、qとtに1を代入するとカタラン数に一致し ます。講義ではこの(q,t)-カタラン数やその変種に関する最近の進展についてお話し したいと思います。

参考文献:

  • R. Stanley, Catalan numbers, Cambridge University Press, New York, 2015

  • J. Haglund, The q,t-Catalan Numbers and the Space of Diagonal Harmonics, University Lecture Series, 41. American Mathematical Society, Providence, RI, 2008

"http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/ja/special-02.html"