全学共通科目講義(1回生〜4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
  ―― 基礎概念とその諸科学への広がり

授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第7回
日時: 2019年5月31日(金)
      16:30−18:00
場所: 数理解析研究所 420号室
講師: 小林 佑輔 准教授
題目: 組合せ最適化における最大最小定理
要約:
最適化問題とは,与えられた制約の下で何らかの目的関数を最大化もしくは最小化する問題のことをいいます.その中でも特に,扱う対象がグラフやネットワークのような組合せ的な構造を持つ場合には組合せ最適化問題と呼ばれ,理論・応用の両面から盛んに研究されています.いくつかの組合せ最適化問題を解く(効率的なアルゴリズムを与える)際には,ある問題の最大値と全く別の問題の最小値が一致するという形の定理(最大最小定理)が重要な役割を果たします.本講義では,組合せ最適化の中でも,特にグラフ上の最適化問題に注目し,そこに現れる最大最小定理について紹介します.

参考文献:

  • 藤重 悟:グラフ・ネットワーク・組合せ論,共立出版,2002.

  • Alexander Schrijver: Combinatorial Optimization, Springer, 2003.

"http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/ja/special-02.html"