全学共通科目講義(1回生〜4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
  ―― 基礎概念とその諸科学への広がり

授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第13回
日時: 2019年7月19日(金)
      16:30−18:00
場所: 数理解析研究所 420号室
講師: 玉川 安騎男 教授
題目: リー代数とその数論への応用
要約:
リー代数(リー環)は、ベクトル空間に括弧積と呼ばれるある種の積構造が与えられた もので、大学初年次の線形代数で十分扱える対象です。「リー理論」により、 リー代数はリー群(群構造の入った多様体)の局所理論を与えることが知られています。 また、リー代数そのものの構造や表現についても、詳細な理論が存在します。私は 整数論・数論幾何の研究者で、リー代数やその表現論の専門家ではありませんが、 自分の研究の中で何度かリー代数のお世話になったことがあります。この講義では、 リー代数の基本的事項を解説し、最後に、リー代数が数論に現れる例について、 少しお話しできればと思います。

参考文献:
予備知識はなるべく大学初年次の範囲内で済むようにしたいと思いますので、 特に参考文献は必要ないと思いますが、下記は良い入門書だと思います。

佐武一郎「リー環の話」日本評論社


"http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/ja/special-02.html"