全学共通科目講義(1回生〜4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
  ―― 基礎概念とその諸科学への広がり

授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第10回
日時: 2023年6月30日(金)
      16:45−18:15
場所: 数理解析研究所420号室
講師: 石川 勝巳 助教
題目: 結び目理論と不変量
要約:
3次元ユークリッド空間に円周を自己交差のないように埋め込んだもののことを結び目と呼びます。トポロジーの一分野である結び目理論では連続変形で移り合うような結び目を「同じ」ものとみなしますが、では、与えられた2つの結び目が「同じ」でないことを示すにはどうすればよいでしょうか? このような問題を考える際に便利なのが不変量、すなわち変形によって値の変わらないものを用いるという方法で、似たような考え方は数学に限らず自然科学の様々な所で有用なものとなっています。今回はカンドルというものを用いた結び目の不変量についてお話したいと思います。

"http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/ja/special-02.html"