全学共通科目講義(1回生〜4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
  ―― 基礎概念とその諸科学への広がり

授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第8回
日時: 2023年6月9日(金)
      16:45−18:15
場所: 数理解析研究所420号室
講師: 照井 一成 准教授
題目: NASH村の命名規則〜整列擬順序入門〜
要約:
人名をひらがなで表す. 名前uがtに埋め込めるとは, tからいくつか文字を取り除くとuになることをいう. たとえば「ゆか」は「ゆうか」や「かゆかゆ」に埋め込めるが「かゆゆ」には埋め込めない. あるところにNASH村と呼ばれる村があった. NASH村では次々と子供が生まれていくが, 新生児の命名にはひとつきまりがあり, 過去に生まれた子の名前が新生児の名前に埋め込めてはならないとする. この掟はいつまでも維持可能だろうか? それともいつかは新生児に名前をつけられない事態が生じるだろうか?

本講義では上の問題の解決(Higmanの補題)を通して整列擬順序理論の紹介を行いたいと思います。


"http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/ja/special-02.html"