From nakajima@math.tohoku.ac.jp Wed Oct 11 03:31:55 1995 Path: tsuru!nakajima From: nakajima@math.tohoku.ac.jp (Nakajima Hiraku) Newsgroups: tohokumath.math Subject: infinite dimensional Heisenberg algebra and HIlbert scheme Date: 3 May 1995 23:07:33 JST Organization: Mathematical Institute, Tohoku University, Sendai JAPAN. Lines: 27 Distribution: tohokumath Message-ID: NNTP-Posting-Host: tsuru.math.tohoku.ac.jp 昨日まで明治でおこなわれた Seiberg-Wittenシンポジウムで私が話したのは 以下のとおり。 代数曲面 X の上の 0-dimensional subschemesのなすHilbert scheme を考え ます。長さが n のものをparametrize するものを Hilb^n(X) とかくことにし ます。これは、X の n 次の対称積 S^n(X) の 特異点解消になっています。 (これは dim X = 2 であることが効いています。) 予想:Hilbert schem の ホモロジーを考え(全てのdegree)、さらに、 n を動 かした直和を考えます: ¥bigoplus_n H_*(Hilb^n(X)) このとき、infinite dimensional Heisenberg algebraが 作用する。すなわ ち、あるオペレーター p_i, q_i (i=1,2,3,.....)があって、 [ p_i, q_j ] = δ_ij が成り立つ。さらに、X が affine planeのときには、(少し、modifyが必要で すが) highest weight representationになっている。すなわち、無限個の変 数をもつ 多項式たちの全体 C[x_1, x_2, .....]と同型。) 忙がしかったので、証明までできなかったのだけど、ほぼ正しそうです。 そこで、質問:ALE spaceのとき、affine Lie algebraのlevel 1 の表現が同 じ空間にできるのですが、affine Lie alg.とHeisenberg alg.の関係はどうなっ ているのでしたっけ? 以前、黒★先生に説明していただいたような気もする のですが....... 中島 啓 From kuroki@math.tohoku.ac.jp Wed Oct 11 03:32:01 1995 Path: tsuru!kuroki From: kuroki@math.tohoku.ac.jp (Kuroki Gen) Newsgroups: tohokumath.math Subject: Re: infinite dimensional Heisenberg algebra and HIlbert scheme Date: 4 May 1995 17:06:20 JST Organization: Mathematical Institute, Tohoku University, Sendai JAPAN. Lines: 152 Distribution: tohokumath Message-ID: References: NNTP-Posting-Host: tsuru.math.tohoku.ac.jp In-reply-to: nakajima@math.tohoku.ac.jp's message of 3 May 1995 23:07:33 JST ebira を /etc/hosts に登録してしまいました: tsuru% grep ebira /etc/hosts # 04 May 1995 (kuroki) add ebira 157.82.37.125 ebira.c.u-tokyo.ac.jp ebira # nakajima's note-pc In article nakajima@math.tohoku.ac.jp (Nakajima Hiraku) writes: |そこで、質問:ALE spaceのとき、affine Lie algebraのlevel 1 の表現が同 |じ空間にできるのですが、affine Lie alg.とHeisenberg alg.の関係はどうなっ |ているのでしたっけ? 以前、黒★先生に説明していただいたような気もする |のですが....... 数学者の文献にも物理学者の文献にも、「式を奇麗に整理してある」「数学的 に明確に書いてある」の二つの条件を満たしているものを知らないので、式を まじめに書くことにしましょう。 ・ H = ({ p[m] | m ∈ Z } から生成される associative algebra over C) と置く。ただし、定義関係式は次の交換関係: [p[m], p[n]] = 2 m δ_{m+n,0}. この式の右辺の 2 という係数は重要である。例えば、勝手に 1 などにしては いけない。(sl(2,C) における tr(H^2) = 2 の 2 がここに現われている。) ・ A = { p[m] | m ∈ Z }, A_± = { p[m] | ±m > 0}, A_0 = { p[0] } と 置く。H における積の演算が、ベクトル空間としての自然な同型写像 C[A] = C[A_] ¥otimes C[A_0] ¥otimes C[A_+] → H を定める。ここで、C[A], etc はそれぞれ A, etc から生成される多項式環を 表わす。この写像を noromal product と呼び、x ∈ C[A] の像を :x: と書く ことにする。(形式的には、A_+ を A_- よりも右に持って行ったあとに、H の 中で積を取るという演算である。) ・ d ∈ C に対して、H の Fock 表現 F_d が次のように定義される: F_d = H /(left ideal generated by A_+ and p[0] - d). 1 mod the left ideal ∈ F_d を v_d と書くことにする。 ・ F_d 上の作用素の母函数 p(z), T(Z) を次のように定義する: p(z) = Σ_{m∈Z} p[m] z^{-m-1}, T(z) = 1/4 :p(z)^2:. T(z) を z に関して形式的に Laurent 展開したとき得られる z^{-m-2} の係 数を L_m と表わす(歴史的な記号。T[m]と書くべきか?)。このとき、L_m は F_d 上の作用素として well-defined であり、次の式をみたしている: [L_m, p[n]] = - n p[m+n], [L_m, L_n] = (m - n) L_{m+n} + 1/12 (m^3 - m) δ_{m+n,0}, L_m v_d = 0 if m > 0, L_0 v_d = d^2/4 v_d. 特に L_m は central charge = 1 の Virasoro algebra の表現を定める。 ・ F = Σ_{d∈Z} F_d と置く。F 上の作用素 e^{±q} を次の式によって定義 する: e^{±q} v_d = v_{d±2}, [p[m], e^{±q}] = 0 if m ≠ 0. さらに、normal product を :e^{±q} p[0]^N: = e^{±q} p[0]^N という式に よって拡張しておく。(q よりも p[0] を右に持って来る。) このとき、 [p[0], e^{±q}] = ±2 e^{±q} であるから、形式的に q を [p[0], q] = 2 をみたす作用素であるとみなせば、 e^{±q} という記法にした理由がわかる。d ∈ Z に対して、F 上の作用素の 母函数 V_d(z) を次の式によって定義する: q(z) = q + p[0] log z + Σ_{m≠0} p[m] z^{-m}/(-m), V_d(z) = :e^{d q(z)}: = exp(q(z)_-) e^{d q} z^{p[0]} exp(q(z)_+). ここで、q(z)_{±} = Σ_{±m > 0} p[m] z^{-m}/(-m) と置いた。(q(z) は 形式的には p(z) の不定積分である(d/dz q(z) = p(z))。物理学的な表現を使 うと、p(z) は q(z) の共役運動量であると言うことができる。これが、p, q という文字を使った理由である。) 次の式が成立している: [p[m], V_d(z)] = 2 d z^m V_d(z), [L_m, V_d(z)] = z^m(z d/dz + d^2/4 (m+1)) V_d(z). この V_l(z) が所謂 "bosonic vertex operator" である。V_l(z) は点 z に 表現 F_l を差し込んで、ベクトル v_l 代入することによって得られる作用素 である。(0 と ∞ に F がいると思う。) V_l(z) をいくつか合成することに よってボゾンの代数 H の P^1 上の N 点 conformal blocks を構成できる。 合成には次の公式が有用である: V_a(z)V_b(w) = (z - w)^{2ab} :V_a(z)V_b(w): (|z| > |w|). 余計なことを書きましたが、これでやっと affine Lie 環 (g = sl(2,C)) を 構成する方法を書くことができます。 ・ g = sl(2,C) の Chevalley generators を E_±, H と書くことにし、 affine Lie algebra g^ を次のように定義する: g^ = g ¥otimes C[t, 1/t] ¥oplus C K, K ∈ center of g^, [ X ¥otimes t^m, Y ¥otimes t^n ] = [X,Y] ¥otimes t^{m+n} + tr(XY) m δ_{m+n,0} K. ・ F 上の作用素の母函数 E_±(z), H(z) を次のように定義する: E_±(z) = V_{±1}(z) = :e^{±q(z)}:, H(z) = p(z) = d/dz q(z). 全てを q(z) で書くことができるので、q(z) が基本的な作用素である。物理 学者の多くは q(z) を √(-2)φ(z) のように書く。φ(z) は 2 次元平面にお ける量子自由 scalar 場の holomorphic part である。 ・ X = E_±, H に対して、X(z) の Laurent 展開における z^{-m-1} の係数 を X[m] と書くことにする。このとき、affine Lie alg. g^ の F における表 現を次によって定めることができる: X ¥otimes t^m → X[m] for X = E_±, H and m ∈ Z, K → 1 id. ・ 無限次元 Haesenberg algebra H の Fock 表現の可算和 F は、g^ の表現 として integrable であり、g^ の二つの既約表現に分解する。すなわち、 g^ の highest weight (k - a)Λ_0 + a Λ_1 (level = k, finite dim. part of h.w. = a) を持つ既約表現を L_{k,a} と書くとき、 L_{1,0} = Σ_{d: even} F_d, L_{1,1} = Σ_{d: odd} F_d, F = L_{1,0} ¥oplus L_{1,1}. L_{1,0}, L{1,1} の h.w. vector はそれぞれ v_0, v_1 である。 ・ g^ の level 1 の h.w. integrable 表現は同型を除いて L_{1,0}, L_{1,1} で 尽され、しかも上の実現を利用して、その character を具体的に計算するこ とができる。 ・ level 2 の h.w. integrable 表現もボゾンを使ってかなり具体的に実現で きる。(この 2 は g = sl(2,C) の dual Coxeter number.) -- 黒木玄@東北大学理学部数学教室 From nakajima@math.tohoku.ac.jp Wed Oct 11 03:32:09 1995 Path: tsuru!nakajima From: nakajima@math.tohoku.ac.jp (Nakajima Hiraku) Newsgroups: tohokumath.math,tohokumath.test Subject: Re: infinite dimensional Heisenberg algebra and HIlbert scheme Date: 9 May 1995 13:43:18 JST Organization: Mathematical Institute, Tohoku University, Sendai JAPAN. Lines: 43 Distribution: world Message-ID: References: NNTP-Posting-Host: tsuru.math.tohoku.ac.jp In-reply-to: kuroki@math.tohoku.ac.jp's message of 4 May 1995 17:06:20 JST Xref: tsuru tohokumath.math:254 tohokumath.test:138 In article kuroki@math.tohoku.ac.jp (Kuroki Gen) writes: |数学者の文献にも物理学者の文献にも、「式を奇麗に整理してある」「数学的 |に明確に書いてある」の二つの条件を満たしているものを知らないので、式を |まじめに書くことにしましょう。 | |・ H = ({ p[m] | m ∈ Z } から生成される associative algebra over C) |と置く。ただし、定義関係式は次の交換関係: | | [p[m], p[n]] = 2 m δ_{m+n,0}. | |この式の右辺の 2 という係数は重要である。例えば、勝手に 1 などにしては |いけない。(sl(2,C) における tr(H^2) = 2 の 2 がここに現われている。) すいません。まだ消化しきれていませんが.... すくなくとも、p[1] と p[-1] の間の交換関係は証明できてますが、一番素直に定義すると "2" は出てきま せん。 homology から convolution によって代数を定義すると、自然に ¥Bbb Z 上定 義されるのですが(¥Bbb Z-係数ホモロジーを考えれば良い。)ここに出てく る "2" もそのような意味付けができるのでしょうか? すなわち、Heisenberg algebra H には ¥Bbb Z-form があって、そこでは上の関係式の"2"が自然に出 てくる....とか。 それから、またまた質問ですが、H の highest weight 表現の character と して、 Π (1 - q^i)^{-1} i が出てきますが(おそろしくいいかげんですが御理解できると期待します)、 この -1 がでてこないものも、自然に出てくるように前に聞いたように思いま す。その reference を教えてください。 中島 啓 P.S. 今年も科研費があたってしまいました。前に、黒★くん曰く、「中島さ んみたいにいいかげんな応募書類で当たるなら委員は何も見ていないというこ とです。」 ただ、こちらでは 10万円以下のものは如何なるものでも消耗品 でよい、さらに図書もそれほど高くなければ、買って良い、ということなので お金を使うのは少し楽ですが..... というわけで、CD-ROMとHard diskを買おうかなあ、と思ってます。 From nakajima@ebira.c.u-tokyo.ac.jp Wed Oct 11 03:32:19 1995 Path: tsuru!nakajima From: nakajima@ebira.c.u-tokyo.ac.jp (Nakajima Hiraku) Newsgroups: tohokumath.math,tohokumath.test Subject: Re: infinite dimensional Heisenberg algebra and HIlbert scheme Date: 12 Jun 1995 17:46:41 JST Organization: Department of Mathematical Science, University of Tokyo, Tokyo, Japan Lines: 38 Distribution: world Message-ID: References: NNTP-Posting-Host: ebira.c.u-tokyo.ac.jp In-reply-to: nakajima@math.tohoku.ac.jp's message of 09 May 1995 04:43:18 GMT Xref: tsuru tohokumath.math:255 tohokumath.test:146 In article nakajima@math.tohoku.ac.jp (Nakajima Hiraku) writes: 前に、Heisenberg algebra の表現ができそうだ、という話しを書きましたが、 結局できました。(証明は頭の中にあるだけで、これから慎重にチェックしな ければいけませんが。) 前は、普通のHeisenberg algebraのbosonicな表現だっ たのですが、fermionic な方も分かりました。 |それから、またまた質問ですが、H の highest weight 表現の character と |して、 | | Π (1 - q^i)^{-1} | i | |が出てきますが(おそろしくいいかげんですが御理解できると期待します)、 |この -1 がでてこないものも、自然に出てくるように前に聞いたように思いま |す。その reference を教えてください。 正確には Π ( 1 + q^i ) i ですね。αとβが奇数次のformのときに、α∧β = −β∧αであることを使 うと、Heisenberg algebraでなくて、 generator : 1, e_i, f_i (i=1,2,....) relation : e_i e_j + e_j e_i = 0, f_i f_j + f_j f_i = 0, e_i f_j + f_j e_i = δ_ij という、bracket [a, b] = ab - ba を {a , b}= ab + ba に換えた関係式が でてきて、うまくいきました。reference をおしえてくださいとお願いしたの に無視されたので、外積代数を使えばいいのだと分かるまでに結構時間をつかっ てしまいました。全く、黒★くんたら冷たいんだから...... でも、まだ reference は知らないので、文献でいいですから教えて下さい。よろしく。 また、もし、違ってたら教えて下さい。 中島 啓