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流体力学

あなたのご専門は?と問われたら「数理流体力学」と答えることにしている. だから流体力学についてもふれておこう. ありきたりの解答であるが [27]はすばらしい. 出版後70年たった今でもいろいろと インスピレーションを与えてくれる本である. しかし, 流体力学も 他の数理科学と同様に長足の進歩を遂げたから[27]だけで十分 とはいえない. 特に, 乱流の理論はあまりにも進歩が激しすぎて どういった本がよいのか, 私にもわからない. [22]は[27]にはないこと(たとえば Stokes流に関する今井の公式など)についてもふれており, 私もしばしば参考にする 本である. 具体例も多い. 手を抜いたところが見あたらない. 唯一残念なのは 乱流に関する記述がないことである. しかし, これにはやむを得ない理由も あるので, それが欠点であるというわけではない. [1]は最新の研究論文でも引用されることがあるくらいで, 定評のある教科書である. 入門書とは言え, 境界層についても 解説してあり, [22,27]とは別の有用性がある. Landau & Lifschitzの 流体力学の本も有名であるが, 独断が多く, あまりお勧めできない. 乱流について勉強するとすれば[49]であろうか. なお, 専門書ではなく入門的な流体力学の本として は[5]と[39]が一番優れているように思う.



Kazuko Suenaga 平成17年2月10日