全学共通科目講義(1回生〜4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
  ―― 基礎概念とその諸科学への広がり

授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第6回
日時: 2020年6月5日(金)
前講義が終了次第開始
講師: 星 裕一郎 准教授
題目: 2次体を通じた数論のいくつかの基本的概念への入門
要約:
例えば中学校での2次方程式の学習などを経て,「整数の平方根」という概念 は,皆さんにとって,それなりに馴染みのある概念だと言えるのではないでし ょうか.ある整数の平方根であって無理数であるものを用意しましょう.その ような数と有理数の加減乗除を考えることで得られる数を集めることで,題目 に登場する「2次体」が得られます.この講義では,その2次体という比較的 「馴染みのある対象」に対する考察を通じた,代数体,代数的整数,ディリク レの単数定理などといった数論・代数的整数論におけるいくつかの基本的な概 念・定理の入門的解説を与えます.

参考文献:

  • 加藤 和也,黒川 信重,斎藤 毅 「数論 I」,岩波書店.

"http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/ja/special-02.html"