全学共通科目講義(1回生〜4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
  ―― 基礎概念とその諸科学への広がり

授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第10回
日時: 2020年7月3日(金)
      16:30−18:00
講師: 石本 健太 准教授
題目: 流体力学のすすめ
要約:
水や空気のような流体の運動は,決まった形を持たず捉えどころない印象を持ちます。オイラー以降250年以上に渡り,人類は流体運動,そして流体方程式の見せる様々な表情を追いかけてきました。本講義では身近で長い歴史を持ちつつも、未だに魅力が尽きることのない、豊かな流体力学の世界の一端を紹介しようと思います。講演の前半では、数理モデルとしての流体力学の入門的解説を行い、複雑な流れをどのように理解すればよいのか議論したいと思います。後半では、生き物に関する流れを扱う「生物流体力学」の最近の発展を(特に自身の研究を踏まえながら)話す予定です。

参考文献:

  1. 今井功:流体力学,岩波書店,1993.
  2. A. J. Chorin & J. E. Marsden:A Mathematical Introduction to Fluid Mechanics, Springer-Verlag, 1993.
  3. 石本健太:微生物の流体力学,数理科学(サイエンス社) 2020年4月号 pp.67-74.

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