全学共通科目講義(1回生〜4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
  ―― 基礎概念とその諸科学への広がり

授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第1回
日時: 2020年5月8日(金)
      16:30−18:00
講師: 山下 真由子 助教
題目: Atiyah-Singerの指数定理入門
要約:
Atiyah-Singerの指数定理は、多様体上の作用素の「指数」という不変量をトポロジ カルな量で表す定理です。この定理は、幾何学と解析学を結びつけ、現代数学の中で 重要な役割を果たしてきました。この講義では、「指数」とはどのような不変量なの かから始めて、指数定理の入門的解説をします。幾何学への応用例や、作用素環論と の関連についても触れる予定です。

参考文献:

  1. 指数定理, 古田幹雄, 岩波書店, 2008.
  2. Analytic K-homology. N. Higson and J. Roe, Oxford Mathematical Monographs. Oxford Science Publications. Oxford University Press, Oxford, 2000.
  3. Spin Geometry, H. Lawson and M-L. Michelsohn, Princeton Mathematical Seri es, 38. Princeton University Press, Princeton, NJ, 1989.

"http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/ja/special-02.html"