全学共通科目講義(1回生〜4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
  ―― 基礎概念とその諸科学への広がり

授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第9回
日時: 2020年6月26日(金)
      16:30−18:00
講師: 室屋 晃子 助教
題目: 関数型プログラムのグラフ表現による実行モデル
要約:
コンピュータは様々な作業を行うことができますが、それは多様なプログラム を実行することで実現されています。プログラムの実行の過程を数理モデリン グすることにより、コンピュータへのいわば指令書であるプログラムに関して、 正しさ、等しさ、また実行の速さなどを数学的に考察することができます。 この講義では、数学的関数を基本単位として構成される関数型プログラムに注 目し、点と線からなるグラフ構造を用いたモデリング手法を紹介します。

参考文献:

  1. 高橋正子「計算論:計算可能性とラムダ計算」、近代科学社

    関数型プログラミングの理論的基礎とも言われるラムダ計算に関する教科書で す。プログラムの実行の過程というよりは、プログラムの大局的な結果を数理 的に解釈する手法が主に扱われています。

  2. 大堀淳「プログラミング言語の基礎理論」、共立出版

    関数型プログラミング言語の型に関する理論や、操作的意味論を含む様々な意 味論が解説されています。


"http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/ja/special-02.html"