全学共通科目講義(1回生〜4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
  ―― 基礎概念とその諸科学への広がり

授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第12回
日時: 2020年7月10日(金)
      16:30−18:00
講師: 小野 薫 教授
題目: 不動点定理の周辺
要約:
不動点とは、写像で動かない点のことです。これまでに、いくつかの場面で 出会っていると思います。この授業では、不動点の存在を主張するいくつかの代表的な 定理を紹介し、その周辺のことにも触れようと思います。
その後、Poincaré の最後の幾何の定理あるいは Poincaré-Birkhoff の定理と呼ばれる 不動点定理を紹介し、そこから広がった話題に少しだけ触れたいと思います。 時間が余れば、おまけの話をします。

参考文献:

  1. Pontrjagin, Foundation of Combinatorial Topology, Graylock Press, 1952.
    (Dover から再版されているようです)
    (和訳) ポントリャーギン トポロジーの基礎 東京図書 1975
    (Brouwer の不動点定理の Sperner の補題を使った証明が書かれています。10節に Sperner の補題の応用として 位相的次元が期待される値をとることが証明されています。)
  2. Yu. A. Shashkin, Fixed Points, American Mathematical Society, 1991.

    以上の2つは、あまり予備知識を必要とせずに読めるものです。

  3. Singer and Thorpe, Lecture Notes on Elementary Topology and Geometry, Springer 1977.
    (和訳 シンガー、ソープ トポロジーと幾何学入門 培風館)

    どれも京都大学図書館に所蔵されています。

    ホモロジー論などを論じた和書、洋書沢山あります。興味を持った人は、 図書館や書店で眺めて気に入ったものを読むと良いと思います。

"http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/ja/special-02.html"