全学共通科目講義(1回生〜4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
  ―― 基礎概念とその諸科学への広がり

授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第2回
日時: 2021年4月16日(金)
      16:45−18:15
場所: 4共11+Zoom(ハイブリッド型)
https://panda.ecs.kyoto-u.ac.jp/portal/site/2021-888-N114-001
講師: 疋田 辰之 助教
題目: 楕円関数とテータ関数
要約:
高校の数学で習うように、三角関数には加法定理と呼ばれる公式がある。 実は加法定理と呼べるような公式を持つ関数には、それ以外にも楕円関数 と呼ばれるものがあることが知られている。楕円関数の理論は18世紀から 19世紀にかけて発展した理論であるが、現代でも数学や物理の様々なところ で登場する重要な関数であり、三角関数の範囲で成り立つことを「楕円化」 するという方向の研究は現在でも盛んに行われている。

講義では楕円関数の加法定理を中心に、楕円関数やその親戚のテータ関数と 呼ばれる関数の性質についていくつか紹介したい。

参考文献:

  1. 武部尚志:楕円積分と楕円関数 おとぎの国の歩き方 日本評論社(2019)
  2. 梅村浩:楕円関数論 楕円曲線上の解析学 東京大学出版会(2000)
  3. David Mumford:Tata Lectures on Theta I, Birkhauser(1983)

"http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/ja/special-02.html"