全学共通科目講義(1回生〜4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
  ―― 基礎概念とその諸科学への広がり

授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第5回
日時: 2021年5月7日(金)
      16:45−18:15
場所: オンライン
https://panda.ecs.kyoto-u.ac.jp/portal/site/2021-888-N114-001
講師: 石川 勝巳 助教
題目: 結び目理論と不変量
要約:
トポロジーとはものの長さや曲がり具合といった情報を無視して図形について考える 数学の一分野であり、与えられた二つのものが「同じ」ものか判別せよ、というのは その基本的な問題の一つです。二つのものが同じものであることはそれらを変形して 一致させることで確かめられますが、このような直接的な方法で二つのものが異なる ことを示すのは難しく、一般的には変形によって値の変わらない、不変量と呼ばれる ものを用いることになります。このことを結び目とJones多項式という例を通して説 明したいと思います。

参考文献:

  1. 「結び目的思考法のすすめ」、数理科学 2020年4月号、サイエンス社
  2. クゼ・コスニオフスキ(加藤 十𠮷 編訳)「トポロジー入門」、東京大学出版会
  3. 村杉 邦男「結び目理論とその応用」、日本評論社
1は一般向けに書かれたもので、結び目理論について様々な話題が紹介されています。 2はトポロジー一般についての入門書で、特に基本群と呼ばれるものについて詳しく 書かれており、トポロジーの面白さが味わえる良書だと思います。また、前提知識を ほとんど必要としない結び目理論の本で丁寧に書かれたものとして3を挙げておきま す。

"http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/ja/special-02.html"