全学共通科目講義(1回生〜4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
  ―― 基礎概念とその諸科学への広がり

授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第8回
日時: 2021年5月28日(金)
      16:45−18:15
場所: オンライン
https://panda.ecs.kyoto-u.ac.jp/portal/site/2021-888-N114-001
講師: 並河 良典 教授
題目: 代数多様体としての商特異点
要約:
アファイン空間の中で、いくつかの多項式の共通零点として書ける空間のことを代数 多様体とよぶ. 代数多様体に群が作用しているときに, その商空間に代数多様体の構 造を入れることが可能かという問いは, 代数幾何ではモジュライ理論との関係で最も 重要な問いの1つである. 特に, アファイン空間に有限群が作用しているとき, その商空間の ことを商特異点とよぶ. この講演では, 代数多様体の定義からスタートして, 商特異 点にどうやって代数多様体の構造を入れるかを解説する. さらに商特異点の座標環を どのように計算するかについても説明する. またアファイン空間に代数群が作用して いる場合には, どのような問題点があるかも論じたい. 参考文献としては, 次の2つを挙げておく.

参考文献:

  1. 向井茂: モジュライ理論 1, 2, 岩波講座 現代数学の展開, 1998
  2. Mumford, D., Forgaty, J., Kirwan, F.: Geometric Invariant Theory, 3-rd edition, 1994, Springer Verlag

"http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/ja/special-02.html"