全学共通科目講義(1回生〜4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
  ―― 基礎概念とその諸科学への広がり

授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第7回
日時: 2022年5月27日(金)
      16:45−18:15
場所: 4共11(吉田南4号館)
講師: 梶野 直孝 准教授
題目: 非整数の次元・体積の概念とそのフラクタルへの応用
要約:
「フラクタル」とは「長さ無限大の曲線」のような「通常の平面, 空間や曲面とは全く異質の幾何構造を持つ図形・集合」を意味する, Benoit B. Mandelbrotによる造語です.自然界の物体の多くは 実はフラクタル(と考えざるを得ない程に幾何的に複雑)である ことをMandelbrotが指摘したのは1970年代のことでしたが, 現在ではフラクタルは数学の諸分野(特に解析学や確率論) において非常に重要な位置を占めるようになっています.

フラクタルを研究する上で最も基本的なのが非整数の次元・体積の 概念です.これらは与えられた集合がどの程度「フラクタル的」か を測る指標としても,フラクタルに関わる様々な現象を厳密に記述 するための道具としても非常に重要です.本講義では,これらの概念 の厳密な定式化,およびそのフラクタル研究への応用例を紹介します.


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