全学共通科目講義(1回生〜4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
  ―― 基礎概念とその諸科学への広がり

授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第5回
日時: 2022年5月13日(金)
      16:45−18:15
場所: 4共11(吉田南4号館)
講師: 河村 彰星 准教授
題目: 計算能力の階層
https://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kawamura/t/gss/
要約:
我々は数学的問題を解くために頭の中で(あるいは紙やコンピュータを使って) 計算を行うわけですが、この計算(情報処理)という行為そのものを数学的対象 として考察し、計算によって何ができて何ができないか明らかにしようとするの が計算可能性と計算量の理論です。1930年代に生まれた計算理論は、コンピュー タの誕生や普及とも互いに影響を与え合いながら発展して来ましたが、素朴な未 解決問題も数多く残されています。本講義では、「計算する機械(や人)」をど のように理論的に捉え、その能力や限界をどのように測るのか、例とともに紹介 します。

参考文献:

  • M・シプサ著、太田・田中監訳『計算理論の基礎 原著第二版』共立出版(平成20年)

"http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/ja/special-02.html"