全学共通科目講義(1回生〜4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
  ―― 基礎概念とその諸科学への広がり

授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第13回
日時: 2022年7月15日(金)
      16:45−18:15
場所: 4共11(吉田南4号館)
講師: 玉川 安騎男 教授
題目: 基本群のガロア理論と数論幾何
要約:
位相空間の基本群は19世紀末にポアンカレによって導入されたもので、位相幾何学(トポロジー)に属する 概念ですが、20世紀後半にグロタンディークにより確立された新しい代数幾何学の理論(スキーム論)を通じて、 現在では整数論・数論幾何学とも大きなかかわりを持つことがわかっています。

この講義の主な目的は、群と位相空間についてごく簡単に復習した後で、古典的な基本群とそのガロア理論に ついて、なるべくわかりやすく解説することです。その後時間が許す範囲で、基本群がどのように現代の整数論・数論幾何学と 関係するかについて、雰囲気だけでも説明できればと思っています。


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