全学共通科目講義(1回生〜4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
  ―― 基礎概念とその諸科学への広がり

授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第9回
日時: 2023年6月23日(金)
      16:45−18:15
場所: 数理解析研究所420号室
講師: 大木谷 耕司 教授
題目: 流体力学と量子力学に現われる微分方程式
要約:
ベクトル解析や微積分学の応用として、数理物理に現われる偏微分方程式を紹介する。 例として、流体力学の方程式と量子力学のSchroedinger 方程式を取りあげ、 Madelung(1957)に従って、前者から後者を導く。偏微分に未だ不慣れな人は、 その復習として聴いて貰えれば十分である。(方程式の解法自体は論じない。)

参考文献:

  • 大学演習応用数学I 4章
    加藤敏夫,吉田耕作 裳華房 (1961, 2002)

  • 岩波講座基礎数学 解析学(II)iv 数理物理に現われる偏微分方程式 I,II
    藤田宏,池部晃生,高見穎郎 岩波 (1977, 2019)

  • 物理・工学における 偏微分方程式 上・下
    コシリャコフ,グリニエル,スミルノフ 岩波 (1974, 2019)
    [英訳: Differential Equations of Mathematical Physics N.S. Koshlyakov, M.M. Smirnov, and E.B. Gliner North-Holland (1964)]
    Sobolev による批判的な書評 https://www.mathnet.ru/eng/rm7139 (露語) もあるが、例が多く参考書として有用。

"http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/ja/special-02.html"