全学共通科目講義(1回生〜4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
  ―― 基礎概念とその諸科学への広がり

授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第10回
日時: 2024年6月28日(金)
      16:45−18:15
場所: 数理解析研究所420号室
講師: 藤田 遼 助教
題目: 箙の表現論とディンキン図形
要約:
表現論は線形代数の言葉を用いて対称性を研究する分野です。歴史的に対称性としては群やリー代数を考えることが多いのですが、この講義では箙(えびら、=有向グラフ)の表現論についてお話しします。特に、リー代数の分類などに出てくるディンキン図形が、箙の表現論にも自然に現れること(ガブリエルの定理)を説明します。

参考文献:

  1. 草場公邦、「行列特論」(第2章:ガブリエルの定理)、裳華房、基礎数学選書21
  2. Pavel Etingof, Oleg Golberg, Sebastian Hensel, Tiankai Liu, Alex Schwendner, Dmitry Vaintrob, Elena Yudovina, ``Introduction to Representation Theory" (Chapter 6: Quiver Representations), AMS, Student Mathematical Library vol. 59(和訳:西山享訳、「表現論入門」、丸善出版

"http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/ja/special-02.html"