全学共通科目講義(1回生〜4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
  ―― 基礎概念とその諸科学への広がり

授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第7回
日時: 2024年6月7日(金)
      16:45−18:15
場所: 数理解析研究所420号室
講師: 星 裕一郎 准教授
題目: 乗法的構造による有理数の加法構造の復元
要約:
有理数からなる集合の中では,「加法(=足し算)」と「乗法(=掛け算)」 を自由に行うことができます.この加法と乗法は,非常に複雑に絡まり合って おり,整数に関わる様々な問題の難しさは,ある意味において,この複雑な絡 まり合いに起因しているとも考えられます.一方,この複雑な絡まり合いを活 用することによって,加法という操作を乗法的なある情報によって記述・復元 することができます.本講義では,そのような復元を議論したいと思います.

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