全学共通科目講義(1回生〜4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
  ―― 基礎概念とその諸科学への広がり

授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第3回
日時: 2024年4月26日(金)
      16:45−18:15
場所: 数理解析研究所420号室
講師: 石川 勝巳 助教
題目: R. Thompson の群と結び目の表示
要約:
3次元 Euclid 空間に自己交叉の無いように円周を埋め込んだもののことを結び目と呼びます。任意の結び目はブレイド群というある種の代数的な構造を持つもの(群)たちの元を用いて表されることが知られており、これを用いて様々な結び目不変量が発見されてきましたが、この構成では群の無限列を考える必要がありました。これに対し Jones は2017年の論文の中で、任意の結び目が Thompson 群というただ一つの群から構成できることを示しました。この講義ではこのような結び目の表示・構成について概説を試みたいと思います。

"http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/ja/special-02.html"