全学共通科目講義(1回生〜4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
  ―― 基礎概念とその諸科学への広がり

授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第5回
日時: 2024年5月17日(金)
      16:45−18:15
場所: 数理解析研究所420号室
講師: 河村 彰星 准教授
題目: 輪番割当と密度
https://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kawamura/t/gss/
要約:
幾つかある仕事のそれぞれについて、連続する〇〇日には必ず一度以上やるべしという日数が指定されています。これを満し続けながら毎日いずれか一つだけ仕事をできるでしょうか。勿論これが可能であるには指定された日数の逆数の和が1以下である必要がありますが、逆にこの逆数和が或る程度小さければ十分であることも判っています。輪番割当(pinwheel scheduling)とよばれるこの問題について、必要条件や十分条件、判定する方法(アルゴリズム)やその効率、「一度以上」を「一度以下」や「ちょうど一度」にした変種などを紹介します。

なお本講義は、講師自身が今年書いている論文とそれに関連する研究動向の解説です。発見や試行錯誤の経緯、うまくいった所、ガッカリな所、もう少しで解けそうな未解決問題など、研究の進め方に関する裏話もしたいと思います。


"http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/ja/special-02.html"