全学共通科目講義(1回生〜4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
  ―― 基礎概念とその諸科学への広がり

授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第12回
日時: 2024年7月12日(金)
      16:45−18:15
場所: 数理解析研究所420号室
講師: 岸本 展 講師
題目: 偏微分方程式と数え上げの問題
要約:
偏微分方程式の研究の中で、「特定の関係をみたす整数の組は(最大で)どのくらいあるか?」という類のことを時々知りたくなります。例えば、非線形シュレディンガー方程式の空間周期的な解の存在を示すのに、対応する線形方程式の解が満たすある不等式を用いるのですが、その不等式の証明では「半径Rの円周上にある格子点の数はRを大きくしたときRのどんな正のべきよりもゆっくりとしか増大しない」という事実が使われました。この講義では、担当者がこれまでに出会った数え上げのテクニックと非線形偏微分方程式への応用についていくつか紹介したいと考えています。

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