全学共通科目講義(1回生〜4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
  ―― 基礎概念とその諸科学への広がり

授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第10回
日時: 2025年6月20日(金)
      16:45−18:15
場所: 数理解析研究所420号室
講師: 望月 拓郎 教授
題目: Ahlforsの補題について
要約:
微分幾何学では、さまざまな興味深い対象が微分方程式によってあらわされます。そのため、非線形な微分方程式(や微分不等式)の解の大きさをなんらかの方法で抑えることが研究の第一歩として重要になることがあります。この講義では、簡単でありながら強力な道具にもなり得るAhlforsの補題を説明します。これは、劣調和関数に関する最大値の原理をある状況において精密化するものです。時間があれば、その微分幾何学的な意味についても説明します。

参考文献:

  • L. Ahlfors, An Extension of Schwarz's Lemmas, Transactions of the American Mathematical Society, Vol 43, (1938) pp. 359--364
     
  • 小林昭七, 曲線と曲面の微分幾何, 裳華房

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