全学共通科目講義(1回生〜4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
  ―― 基礎概念とその諸科学への広がり

授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第13回
日時: 2025年7月11 日(金)
      16:45−18:15
場所: 数理解析研究所420号室
講師: 玉川 安騎男 教授
題目: 圏論と数論幾何
要約:
1940年代に代数的トポロジーの分野で初めて導入された圏論は、現代数学のあらゆる分野で水や空気のように使われています。特に数論幾何は、1950年代のスキーム論の導入による新しい代数幾何の特徴付けを契機として、現在では、圏論を最もよく使う分野の一つとなっています。

この講義では、圏の定義から始めて、圏のさまざまな例や圏論の基礎概念について時間をかけて解説します。その後、圏論がどのように数論幾何に現れるかについて、いくつかの例を紹介し、特に「ガロア圏」については少し丁寧に解説したいと思います。


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