全学共通科目講義(1回生〜4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
  ―― 基礎概念とその諸科学への広がり

授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第13回
日時: 2026年7月17 日(金)
      16:45−18:15
場所: 数理解析研究所420号室
講師: 玉川 安騎男 教授
題目: 多元環の分類とブラウワー群
要約:
有限次元ベクトル空間に双線形な積の構造が入り、単位元の存在と結合法則を満たすとき、(体上の有限次元単位的結合的)多元環あるいは代数と呼びます。多元環の分類は、低い次元では手計算でもできますが、次元が高くなると急速に難しい問題になります。講義の前半では、実数体や複素数体の上の多元環の分類について、低い次元で手を動かして計算してみたり、高い次元で知られている現象を紹介したりしたいと思います。

多元環には、ジャコブソン根基と呼ばれる部分ベクトル空間(実際には、より強く「両側イデアル」となる)が定まり、多元環をジャコブソン根基で割ってできる多元環は、半単純多元環というものになります。半単純多元環には構造定理があり、最終的にはブラウワー群と呼ばれる群によって分類されます。講義の後半では、(100年近く前に確立された)このような古典的な理論について、なるべくわかりやすく紹介したいと思います。

ブラウワー群は整数論・数論幾何においても重要な群で、例えば、類体論やディオファントス幾何や遠アーベル幾何などの中でも使われています。講義の最後に時間が許せば、ブラウワー群の数論への応用についても少しお話しできればと思っています。


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