全学共通科目講義(1回生〜4回生対象)

 

現代の数学と数理解析
  ―― 基礎概念とその諸科学への広がり

授業のテーマと目的:
数学が発展してきた過程では、自然科学、 社会科学などの種々の学問分野で提起される問題を解決するために、 既存の数学の枠組みにとらわれない、 新しい数理科学的な方法や理論が導入されてきた。 また、逆に、そのような新しい流れが、 数学の核心的な理論へと発展した例も数知れず存在する。 このような数学と数理解析の展開の諸相について、第一線の研究者が、 自身の研究を踏まえた入門的・解説的な講義を行う。

数学・数理解析の研究の面白さ・深さを、 感性豊かな学生諸君に味わってもらうことを意図して講義し、 原則として予備知識は仮定しない。

第11回
日時: 2026年7月3日(金)
      16:45−18:15
場所: 数理解析研究所420号室
講師: 照井 一成 准教授
題目: 不完全性定理入門
要約:
不完全性定理(クルト・ゲーデル, 1931)は, 数理論理学の出発点となった基本定理のひとつです。 この定理はヒルベルト計画と呼ばれる数学の基礎付け計画を発端として生まれたものであり、 その後の数学基礎論の流れを決定的に方向づけたものとして重要です。

不完全性定理には第一と第二があり、第一定理は「一定の仮定のもとで、どんな自然数論の公理系にも、証明も反証もできない文がある」という ごく当然の事柄を述べています(群の公理系からは、可換性も非可換性も証明できません)。一方で第二定理のほうは「一定の仮定のもとで、 どんな自然数論の公理系も自分自身が無矛盾であることを証明できない」という 一見よくわからない事柄を述べています(「自分自身が無矛盾であることを証明する」ってどういうことでしょう?)。

本講義では、この定理の背景と証明の概要を、たぶんに直感を交えてなるべく簡単に紹介したいと思います。


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