プロフィール

京都大学 大学院理学研究科 数学・数理解析専攻 数理解析系

竹広 真一(たけひろ しんいち)

〒606-8502 京都市左京区北白川追分町
京都大学数理解析研究所
phone:(075)753-7260
fax :(075)753-7272

研究分野・研究活動

地球および惑星流体力学の研究

地球および惑星などの天体での流体現象を考察するための流体力学の研究を 行なっています. 特に, 地球型惑星内部のマントルや中心核の流れと 木星型惑星の大気現象に興味を持ってます. 詳しくは研究グループのページをご覧下さい.

流体力学 : シアー流の不安定と波の過剰反射について

速度差を伴う平行な流れであるシアー流の不安定現象は, 不規則で複雑な乱流状態への遷移の開始として流体力学的に重要であり, さまざまな状況で調べられてきています. しかしながら, 数理的解析手法は確立しているものの, なぜ不安定が生じるかということの理解はそれほどきちんとなされていません. 不安定が生じる物理的な解釈の一つに, シアー流中の波の伝播性質に注目する研究が行なわれています. 不安定が生じる状況で波を入射すると, 反射して来る波の振幅が大きくなる過剰反射と呼ばれる現象がしばしば生じます. この波の過剰反射現象を通じて, なぜシアー流が不安定となるのかを いくつかの状況において説明することに成功しています. しかしながら, 過剰反射でうまく説明できていない状況もあり, 全てのシアー不安定を説明できるのかどうかは定かでありません. 例題をならべつつ, シアー不安定と波の過剰反射の関係について より一般的な扱いができないか思案している段階です.

地球(惑星)流体力学研究のための計算機環境の開発

研究のための道具は自前で維持管理すべきものというモットーの下, 地球(惑星)流体力学の研究を行なう上で必要な数値計算資源の開発を 全国の研究者のグループと共同で進めています. 日々自らの研究のための道具に磨きをかける作業は, 研究成果に直接反映されなくとも重要な活動の一つです.

  • 各種の地球流体流体数値モデルとそのための数値計算ライブラリ
  • 数値計算結果や観測データ等の大規模なデータの解析・可視化ツール
  • 地球流体力学のこれまでの知見の電子化(地球流体理論マニュアル)
  • セミナー等のノートや講演ビデオ等の資源のアーカイブ
  • その他こまごまとした電脳ツールやテクニックなど

詳しくは地球流体電脳倶楽部の ホームページを訪れてみて下さい.


研究ポリシー

まずは「人まね」より始めよ

どの分野でも研究が評価される上で, その独創性(オリジナリティー)が 重視されます. しかしながら, 研究を進めるための基本的な能力 (理工系なら, 読解力・文章力・計算力など)が十分に身についていないと 独創的な研究成果を出すことなど無理です. そのため私は, 指導する学生には まず他の人が行なった以前の研究を追試するよう勧めてます. 「人まね」さえもできないようなレベルでは独創的な研究成果など だせるはずがありませんから.

温故知新

たとえ新たな研究につながらなくとも, 古き問題を自分の手で再度トレース することはそれなりに楽しいものです. しかし「人まね」をきちんと行なう ことは, 単に研究遂行能力の修錬という意味だけではありません. 既に終っ たと思われている問題を自分の手で追試してみると, 論文には書かれていな い点に気づいたり, 著者の誤りや見落しを発見したりすることがしばしばあ ります. そのことがあらたな研究の出発点になる可能性もあるのです. そも そも科学が今日まで発展してきたひとつの大事な要素は, 追試しておなじ結 果が得られることを確かめられることにあります. そのようなことからも, 「既にだれかがやってしまっているから」といってその問題に手をつけない のでは,隠れた大問題を見逃してしまうおそれがあります.

講義

一般向け講演


Last modified on 31th of May, 2005, by Shin-ichi TAKEHIRO