Japan. J. Math. 16, 247--313 (2021)

グロタンディーク空間: その風景と視点

M. ゴンザレス, T. カニア

Abstract:
1973年にディーステルはグロタンディーク空間とベクトル測度に関する影響力の大きな論文を出版した.その論文ではグロタンディーク空間(バナッハ空間であって,その双対空間において弱点列収束と汎弱点列収束が一致するもの)とベクトル測度の関係を引き出した.この関係は彼とウールとの本「ベクトル測度」においてさらに発展させられた.またディーステルの論文はグロタンディーク空間の構造についての多くの未解決問題のセクションを含んでおり,現在までその半分しか解かれていない.

この論文ではグロタンディークの性質を持つバナッハ空間の理論のある主観的に選ばれた一角の最先端の様子を合成的に提示することを目指す.そのため,この性質を持つ空間の主要な例を記述し,ディーステルの問題の解決を記録し,グロタンディーク空間に関する様々な結果の一般化,拡張,または新証明を提示し,また関連すると考えられる問題で,この理論のよりよく構造化された発展を再活性化すると我々が信じるものをリストに加える.