2005年 | 「3次元多様体のトポロジー」 テキスト pdf [353kb] 葉廣 和夫 多様体とは、局所的にユークリッド空間であるような図形です。 トポロジー(位相幾何学)では、 連続的な写像で一対一の対応がつく2つの図形を「位相同型」であるといい、 同等なものとみなします。 1次元、2次元の多様体の位相同型については、よくわかっていますが、 3次元多様体についてはまだ完全にはわかっていません。 この講義では、3次元多様体の位相同型類たちのなす集合の構造を理解するための、 様々なアプローチについて、解説する予定です。
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「くみひもの数理」 テキスト pdf [770kb] 鈴木 武史 様々な色に染められた糸を交差させて組み上げる「くみひも」は、 ここ京都でも栄えた伝統工芸です。 くみひも職人は単純な工程を巧みに組み合わせて複雑な柄を組んでゆきますが、 数学者はこうした工程を「演算」や「作用」といった言葉を用いて解釈し、 くみひもの集合を「群」(演算を持った集合)として研究してきました。 講義では、この「くみひも群」について紹介し、 さらに、この素朴で一見単純な対象が、 位相幾何や統計力学等、数理科学の様々な分野の問題と絡み合い、 深い結果に結び付いている様子をお話したいと思っています。
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「劣モジュラ構造と離散凸性」 テキスト pdf [214kb] 藤重 悟 グラフやネットワークなどの離散システムに現れる劣モジュラ構造について論じます。 劣モジュラ構造は、 劣モジュラ関数と呼ばれるある種の集合関数とそれに付随して定義される多面体によって表現され、 効率よく解くことができる多くの組合せ最適化に顔をのぞかせます。 本講義では、 いくつかの具体例を通して劣モジュラ構造の本質とその面白さを伝え、 「劣モジュラ関数の理論」と、 近年、室田一雄によって展開されてきた「離散凸解析」への入門のお話をします。
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2004年 | 「この結び目はほどけるか?」 テキスト pdf [1,403kb] 大槻 知忠
ひもを結ぶと結び目ができます。
結び方をかえると、できる結び目もさまざまです。
では、どれくらい多様な結び目があるのでしょうか?
変形して互いにうつりあう結び目を同じ結び目とみなして、
数学的対象として結び目を研究する分野を結び目理論といいます。
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「円周率の公式と計算法」 テキスト pdf [259kb] 大浦 拓哉 円周率の計算は、アルキメデスの時代から現代にいたるまで、 さまざまな人たちによって行われてきています。 その計算公式と計算法には、その時代の高度な数学が用いられてきました。 この講義では、円周率の計算法を中心とするさまざまな数学的話題について解説する予定です。
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「不変式の話」 テキスト pdf [200kb] 向井 茂 2次方程式 ax2+2bx+c=0の判別式D=4(b2-ac)はよく知られている。 判別式は高次の方程式にも一般化され、 それが消えること(D=0)で重解の存在が特徴付けられる。 19世紀にBooleは方程式の係数の多項式の中で特殊1次変換でもって不変なものの全体を調べ、 2次方程式や3次方程式では実質的に判別式しかないことを示した。しかし、 4次以上の方程式ではこれは成立しない。 多くの数学者の努力により方程式の不変式はよく解明され、 一般の不変式研究の雛形となった。また、 その研究過程からいくつかの重要な数学的概念も誕生している。 より幾何的な例や具体的な計算を交えながら不変式論を説明してゆきたい。
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2003年 | 「大気と海の流体力学」 テキスト pdf [437kb] 山田 道夫 地球や惑星の大きなスケールの流体運動は、回転や重力の影響を受 けるため日常身の回りの流れとは違った性質を持ち、しかもこれら 奇妙な性質は天気の移り変わりや海流の道筋と直接に関わります。 ここでは、これらの性質を紹介し、流体方程式との関わりについて 説明したいと思います。現象への数理的アプローチと考え方、架空 の惑星についての考察などを解説する予定です。
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「行列で表現する話」 テキスト pdf [228kb] 有木 進
連立方程式を解くとは、
$f_1(x_1,\dots,x_n)=0, \cdots, f_r(x_1,\dots,x_n)=0$
をみたす「数の組」 $x=(x_1,\dots,x_n)$ を
求めることですが、ここでは $x_1,\dots,x_r$ が
同じサイズの正方行列であるとし、関係式
$f_1(x_1,\dots,x_n)=0, \cdots, f_r(x_1,\dots,x_n)=0$
をみたす「行列の組」を求めることを考えましょう。
このような問題は表現論という分野で
考えられてきました。原理的にはどんな
関係式を考えてもいいのですが、実際に
研究されているのは数学や物理で自然に
現れる関係式、つまり応用の見込めそうな
筋のいい関係式だけです。
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「複素解析と平面図形たち」 テキスト pdf [1.4Mb] 山ノ井 克俊 複素数から複素数への関数で微分可能なものを正則関数と呼びます。 この定義は普通の実微分可能関数、つまり高校数学に登場する実数から実数への 微分可能な関数、の素直な拡張です。 しかし、正則関数の世界では実微分可能関数の世界とはかなり趣のちがう、独特で 見事な現象に出会うことができます。 この講座の目標は、正則関数の世界にある「幾何」をいくつかの有名な定理を通して 感じとって頂くことです。実微分可能関数との性質の違いが際だち、そこが面白い、 という題材を選ぶ予定です。 | ||
2002年 | 「自己言及の論理と計算」 長谷川 真人
自分自身について述べることの難しさと面白さは、
日常誰でも経験することだと思います。
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円周率 \pi = 3,141592 ...
(以下無限に続く)
は円周の長さとして、積分
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「トーリックの世界」 藤野 修
ユークリッド空間内の有限個のベクトルで張られた凸体を錐と呼びます。錐の集まりである扇が今回のお話の主人公です。
扇から自然にトーリック多様体という代数多様体が構成できます。
トーリック多様体の視点を導入することにより代数幾何の理論を扇の研究に用いることが出来ます。
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2001年 | 「電気回路とランダムウォーク」 熊谷 隆 皆さんの中には、高校の物理でオームの法則・キルヒホッフの法則といった、 電気回路についての法則を経験則として学んだ人も多いと思います。この講座では、 これらの法則が離散調和解析と呼ばれる数学を用いてどのように表現されるかを学び、 電気回路に対応するランダムウォーク(マルコフ連鎖)について考察します。 グラフの上に電気回路を構成してそのポテンシャル論的な性質を学ぶとともに、 電気回路の性質が、対応するランダムウォークの性質にどのように反映するかを調べ、 これらを用いた応用にも触れる予定です。
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「流体力学と流体数学」 岡本 久
わが国の大学の数学教室では流体力学を講義することは少ないが、
ヨーロッパの大学では数学教室で流体力学を教えることも多い.
イギリスなどでは応用数学のかなりの部分を流体力学周辺で
占めていることもある. 歴史的に見ても、 B. Riemann, H. Poincare,
H. Weyl, A. N. Kolmogorov など、その人の主要な業績からは外れるけれども
重要な流体力学の論文を書いてきた数学者は多い。
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「超弦理論の数学」 高橋 篤史
物質や空間の基本構成要素が「点(素粒子)」ではなく
1次元の空間的な広がりを持った「弦」であると考えることから,
超弦理論は始まりました.
現在では, 一般相対性理論と量子論の究極的統一理論,
つまり万物の理論の最有力候補として, 理論物理学の表舞台で活躍しています.
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2000年 | 「球面の対称性」 永田 雅嗣
「対称性」というのは、実生活にもなじみの深い概念です。「球面という図形に
どんな対称性があるか」と問われれば、誰でも点対称、回転対称、面対称などのアイ
デアを思い起こすでしょう。
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「有理点の問題と符号暗号への応用について」 伊原 康隆
代数曲線の有理点が符号、暗号(主に符号)
の問題にどのように使われるかについて、入門的な話をしたいと思います。
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「離散と連続 − 微分方程式の数値解析」 降旗 大介
「数えられるもの=離散量」と「数えられないもの=連続量」
という素朴な感覚にたがわず、数学では離散量と連続量は異なった扱いを受けます。
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1999年 | 「多項式の解の近似がとりもつ数論と幾何の関係」 望月 新一 多項式の有理数解の研究は、歴史が長いだけに、 樣々なアプロ−チを産み出しているが、二十世紀の後半に開発され、 現在では数々の輝かしい成果を挙げているアプロ−チとして、 現代数論幾何がある。本講義の目標は、 その現代数論幾何の世界を紹介することにある。 現代数論幾何の基本は、標語的にいえば、 多項式の解の近似にあるといってもよい。つまり、 有理数というものは、整数論の対象としては構造が複雑すぎるため、 数論的にはより単純な構造をした実数や複素数のような数で 近似することによって多項式の有理数解を調べるのである。 このような近似解のなす集合は、有理数解のなす集合と違い、 「滑らかな物質」で出来た幾何的な対象をなしていて、 その対象の幾何的性質が、有理数解の性質に大きく影響することが知られている。
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「計算幾何学入門」 田村 明久
平面上に与えられた有限個の点の集合に対して、
これを含む最小の凸多角形を求める問題を(2次元)凸包問題とよびます。
計算幾何学とは、このような幾何的な問題を解くアルゴリズム(解法)を
研究する計算機科学の一分野です。
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「微積分をつうじて多様体が見える」 宮岡 洋一
「多様体」は現代数学を理解する上で鍵となる概念です。
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1998年 | 「無理数、超越数」 |
永田 誠 |
「微分方程式と発散級数」 |
竹井 義次 | |
「再帰的構造とアルゴリズム」 |
西村 進 | |
1997年 | 「代数曲面の世界」 |
中山 昇 |
「数値積分と複素関数論」 |
森 正武 | |
「超対称性の物理と数学」 |
河合 俊哉 | |
1996年 | 「プログラミング言語、状態と型」 |
Jacques Garrigue |
「リーマン面」 |
古田 幹雄 | |
「漸近挙動を巡って:太鼓の形と酔歩」 |
高橋 陽一郎 | |
1995年 | 「p進数と整数論」 |
辻 雄 |
「微分方程式とその応用」 |
谷口 雅治 | |
「マトロイド理論とアルゴリズム」 |
岩田 覚 | |
1994年 | 「代数曲線の幾何」 |
森 重文 |
「プログラミング言語の数理モデル」 |
大堀 淳 | |
「楕円曲線と整数論」 |
玉川 安騎男 | |
1993年 | 「論理とコンピュータ」 |
服部 隆志 |
「組紐群について」 |
織田 孝幸 | |
「渦運動と乱流」 |
大木谷 耕司 | |
1992年 | 「確率論の話題から」 |
楠岡 成雄 |
「「保証書」付き数値計算法」 |
室田 一雄 | |
「時間とミクロ世界・マクロ世界」 |
小嶋 泉 | |
「グラフと組合せ論」 |
松本 眞 | |
1991年 | 「整数論・最近の話題」 |
伊原 康隆 |
「パソコンでできる偏微分方程式の数値解法」 |
磯 祐介 | |
「ナビエ・ストークス流の話」 |
木田 重雄 | |
「数学とコンピュータ教育」 |
萩谷 昌己 | |
1990年 | 開催しませんでした | |
1989年 | 「定角曲線について」 |
松浦 重武 |
「微分方程式と数値解法」 |
一松 信 | |
「確率・意思決定」 |
楠岡 成雄 | |
「空間との長いつきあい」 |
成木 勇夫 | |
1988年 | 「演算子法の話」 |
松浦 重武 |
「無限大の自由度と対称性」 |
三輪 哲二 | |
「結び目の話」 |
島田 信夫 | |
「代数方程式について」 |
一松 信 | |
1987年 | 「曲面の位相幾何」 |
齋藤 恭司 |
「微分できない連続関数のお話し」 |
笠原 晧司 | |
「計算機による数式処理」 |
一松 信 | |
「対称性(及び反対称性)は自然界にどのように偏在するか」 |
南 政次 | |
1986年 | 開催しませんでした | |
1985年 | 「四元数の話」 |
荒木 不二洋 |
「四元数の整数論」 |
一松 信 | |
「金太郎飴と有平糖(アルヘイトウ)」 |
松浦 重武 | |
「磁針のずれの幾何学」 |
笠原 晧司 | |
1984年 | 「ゲームの理論をめぐって」 |
一松 信 |
「メビウスの問題をめぐって」 |
松浦 重武 | |
「結び目と特異点」 |
廣中 平祐 | |
「多元次元立方体を切る」 |
岩井 齊良 | |
1983年 | 「暗号の数理」 |
一松 信 |
「カオスとフラクタル」 |
宇敷 重広 | |
「グラフの理論と素粒子」 |
中西 襄 | |
「接図形と無限小解析」 |
松浦 重武 | |
1982年 | 「ひまわりの渦」 |
廣中 平祐 |
「ユークリッド"原論"を読む」 |
一松 信 | |
「ミクロの論理」 |
荒木 不二洋 | |
「転と団子」 |
松浦 重武 | |
1981年 | | |
1980年 | 「数値計算の落し穴」 |
一松 信 |
「電気振動の話」 |
上田 ヨシ亮 | |
「地底の物体の形について」 |
松浦 重武 | |
「流体の数理」 |
後藤 金英 | |
1979年 | 「日本の洋算について」 |
小松 醇郎 |
「円形の池に浮かぶ中の島の形について」 |
松浦 重武 | |
「確率模型の話」 |
伊藤 清 | |
「素数の話」 |
一松 信 | |
1978年 | 「情報処理の数理」 |
高須 達 |
「偶然現象の微積分」 |
伊藤 清 | |
「特異点とカタストロフィー」 |
廣中 平祐 | |
「生物モデルの数学」 |
山口 昌哉 | |
1977年 | 「数と代数の話」 |
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「複素数と物理学」 |
荒木 不二洋 | |
「記号列の数理」 |
西尾 英之助 | |
「和算の話」 |
一松 信 | |
1976年 | 「集合の話」 |
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「数学と自然科学」 |
佐藤 幹夫 | |
「シンメトリー(対称性)の話」 |
吉澤 尚明 | |
「曲面の話」 |
島田 信夫 | |
「確率過程の話」 |
伊藤 清 |
京都大学 数理解析研究所 |
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