応用解析学特論I(京都大学大学院情報学研究科 2013年度集中講義)
フラクタル上の解析学入門
講義概要
「フラクタル」とはEuclid空間やRiemann多様体のような滑らかな
空間とは全く異なる幾何学的性質を有する集合の総称である.
そこでは通常の微分の概念は全く機能しないが,「自己相似フラクタル」
と呼ばれる,数学的に理想化された扱いやすいフラクタルにおいては
自然な``Laplacian"がある種の微分作用素として厳密に定義され,その
固有値や対応する熱方程式の解析を通して豊かな解析学が展開される.
本集中講義では,主に
J. Kigami, Analysis on Fractals, Cambridge Univerisity Press, Cambridge, 2001
の記述に従い,自己相似フラクタル上のLaplacianの構成とその基本性質を取り扱う.
具体的には以下の内容を予定している:
- 自己相似集合の構成とその幾何学的性質
- 電気回路とその極限としての抵抗形式
- P.-c.f.自己相似集合上の自己相似抵抗形式の構成
- P.-c.f.自己相似集合上のLaplacian及び熱核の性質
- 最近の発展
講義日程・場所と各回の進行状況
講義日程
講義は全8回で,2013年10月〜2014年1月の間の以下に挙げる金曜日の10:30-12:00に行う.
(進み具合を考慮して,非公式に2月14日(金)10:30-15:30にもう1度講義させていただくことになりました.)
- 10月4日
講義ノートの定義1.5まで
- 10月18日
講義ノートの1.2節の終わりまで
- 10月25日(11月1日から変更になりました)
講義ノートの演習1.4まで
- 11月8日
講義ノートの1.4節の終わりまで
- 12月6日
講義ノートの2.1節の直前まで
- 12月13日
講義ノートの命題2.10の証明まで
- 1月10日
講義ノートの補題2.20の証明まで
- 1月17日
講義ノートの定義2.26まで
- 2月14日
講義ノートの定理2.50まで,及び
J. Kigami [Analysis on Fractals, Sections 2.4, 3.1 and 3.3]と
J. Kigami [Mem. Amer. Math. Soc. 216 (2012), no. 1015, Chapters 6 and 9]の内容の一部
講義場所
- 10月4日,10月18日:京都大学工学部2号館4階414号室(応用解析学講座セミナー室)
- 10月25日:京都大学工学部総合校舎2階213号室
- 11月8日以降:京都大学文学部東館2階262号室(中央食堂のある建物(工学部8号館)の北隣の建物です)
(工学部2号館に該当箇所近辺に解体工事の予定がある関係で11月以降は場所が変更になります.)
レポート
本講義に履修登録している学生で単位の取得を希望する者は,
以下の要領でレポートを作成し期限までに提出すること.
- レポート課題:講義ノートの演習1.1〜1.9及び演習2.1のうち2問以上に解答せよ.
- 提出先:京都大学工学部2号館215号室(応用解析学講座秘書室)
- 締切:2014年2月5日(水)午後5時
講義ノート
本講義ノートの一部あるいは全部を引用する場合には出典を明示すること.
Naotaka Kajino
Department of Mathematics,
Graduate School of Science,
Kobe University,
Rokkodai-cho 1-1, Nada-ku, 657-8501 Kobe, Japan
Office: Faculty of Science Building B, Room B426
Tel: +81-78-803-5616
Fax: +81-78-803-5610
E-mail: nkajino ``at" math.kobe-u.ac.jp