[3]は多項式近似に関 する話題が並べられており, 知的好奇心を大いに刺激された. 杉原正顯氏に教えて いただいた[17]は複素関数に関する近似理論の総まとめのような ものであり, 特殊なテーマを扱っている本ではあるが非常に読み応えのある本で ある. [33]は精度保証計算に 関するわかりやすい教科書である. 精度保証計算に関する教科書も様々なものが 出版されているが, 偏微分方程式を扱う研究者には[33]が最も歓迎 されるのではなかろうか? [10]は近似論の定評ある教科書である. 学生のころこれを読んで様々な知識を仕入れることができたが, それは今でも 重宝するものばかりである. 感謝の気持ちでいっぱいの本である. [25] はページ数は少ないけれど, 数値解析の基本について一通り学ぶことができ, よくできた本であるということができる. もちろんこの本だけでは最新の 知識は得られないが, 大学4年生くらいの学生が数値解析の基礎理論を 勉強するにはこれくらい題材をしぼった方がよいのであろう.
ウェーブレットについては全くの門外漢であるが, 山田道夫氏から [9]を贈っていただいた. これは英語で書かれた非常に有名な本を 和訳したものである. ふたりの訳者もウェーブレットの専門家として名高く, 信頼の できる翻訳である. ただ, これを読むには数学科の3年生程度の知識は必要かと 思う.