京都大学 NLPDE セミナー

今後のセミナーの予定
Schedules of future seminars

● 2026 年 10 月 16 日 (Fri) 16:00 〜 17:00
講演者
小池 開 氏 (慶應義塾大学 経済学部)
Kai Koike (Keio University)
講演題目
Relaxation enhancement by controled Euler flow
講演要旨
2 次元トーラス上で移流拡散方程式を考える. ただし,その移流速度は外力付き Euler 方程式の解であるとする. Euler 方程式の外力としては,固定された $M$ 個の空間的なプロファイル $( \theta_i(x) )_{i=1}^{M}$ の線形結合 $\sum_{i=1}^{M}u_i(t) \theta_i(x)$ で表せるものを考える. 本研究で考える問題は,線形結合の係数 $( u_i(t) )_{i=1}^{M}$ を上手く選ぶことで,移流拡散方程式の解を任意の速さで減衰させられるか,というものである. イメージとしては,ミルクを入れたコーヒーカップの中に $M$ 個の攪拌棒を入れ,それらの動きを制御することで,ミルクの濃度を短い時間で均一にする,というものである. 撹拌を強化する流れ(relaxation enhancing flow)が存在することの証明と,その特徴づけは Constantin, Kiselev, Ryzhik, and Zlatos (Ann. Math. '08) で実際に与えられている. ただし,これらの流れはなんらかの流体方程式の解としては構成されていない. 我々が問題とするのは,そのような流れを Euler 方程式の制御問題の解として構成できるか,というものであり,本講演ではそれが可能であるという結果を紹介する. 証明の鍵は,Agrachev–Sarychev の方法によって,任意の速度場を Euler 方程式の解によって,弱位相で追跡できることを示すことにある. これと,relaxation enhancement が弱位相で安定であるという洞察を加えることで,証明を行う.